沢渡日記

日々徒然

20180804

昨日の夜、友達とバーで待ち合わせた。風のぴたりと止んだ蒸し暑い夜だった。ビリジアンのスカートに黒のトップスを合わせて、昨日買ったシルバーのレインパンプスに足を通した。ビールで乾杯して、女三人でキャッキャしながら話した。ちゃんとオシャレした女の人に会うのはいい。ヨガの後だからいつも大荷物とか、朝起きて時間内に服を選んでアイロンとか、そういうことを改めたいなと思う。女を装う時間をたっぷり取りたい。カウンターで居合わせた北九州の人が銃槍の話をしていた。ドラマ、アンナチュラルで焼死体の銃槍で身元が分かるシーンがあったな…と思い出していた。重曹じゃないよ?といわれて、わかります、とニコニコした。お店が混んで来たので、クラブへ移動した。イベントは盛況だった。知り合いに何人も会って、挨拶したりされたりした。フロアは真っ暗な海、音楽は波、揺れる人々は深海魚のようだ。この前…のパーティーに来てたでしょう?知らない女の子から声をかけられて、少し話した。ヒップホップ上がりのアイドルみたいに甘い顔立ちの子だった。あなたの足の動きはとても速い、どうなっているの?と聞かれて、サルサのステップを入れてるのとリズムは表と裏をランダムに取ってる、と答えると、彼女はまじまじと話を聞いていた。拍子は八カウントで収まるように曲によって適当に組んでいる、変則だと三三二、五三とか。あまり人に説明しないので、自分でもへぇ、と思った。フロアの後ろに下がってぼんやりしていると、揺れているあの人の姿を見つけた。グレーのTシャツの後ろ姿をしばらく眺めて、隣に並んで少し話した。遊んで行けるの?と聞かれて、体力が持てば、と私は答えた。先週よりさっぱりとした印象だった。髪を切ったのかもしれない。来てたんだね、と今夜は言わないんだなと思った。

20180808

昨日の仕事明け、眼科へ行った。診察で点眼の成果が出ており、優良ですねと先生にいわれた。努力したものね。よかった。いつものヨガのクラスを逃してしまい時間が空いたので、おにぎり屋さんに入った。豚汁と梅おにぎりお願いします。ふんわり握ったお握りに香りのいいパリッとした海苔。日本のご馳走だ。以前は明太子やチーズかつおのようなこってりした具を選んでいたけれど、最近は梅ばかりだ。梅おにぎりは栄養バランスが良いらしい。食べた感じも、なんとなく体に収まりがいい気がする。熱い豚汁をすすっていると、映画、南極料理人を思い出した。気温マイナス五十度の中で作業した後のお昼ごはん。隣に座った女性客ふたりが素朴な雰囲気でじんわり和んだ。髪を一つに結んでメガネをかけた女性が、職場の近所にあるおにぎり屋さんの行列がすごい、という話をしていた。そういえば最近、街中でもおにぎり屋さんが増えている気がする。需要が高まっているのか…日本のソウルフードだもんね。ヨガスタジオに早めに着き、音楽を聴いたり友達に連絡したりした。ふとフレーズが浮かんできて、Apple Musicで中島美嘉の一番綺麗な私を、を繰り返し聴いた。これはほとんど演歌だなと思った。歌詞も含め。一番綺麗な私を抱いたのは誰だろう?とぼんやり考えた。該当者なし、と結論づけた。なぜならそれは次の恋人だから。自分はずっとそう思いながら生きている気がした。

20180807

昨日の夜、久しぶりに残業になった。来週、夏休みを取る算段の人達が一気に動き出した模様。体調があまり良くなかったし、ヨガに行けそうになかったら目処がつくまで片付けた。噴水に寄って少し座りボーッとした。家に帰って温野菜たっぷりの食事をしながらドラマ、絶対零度を観た。サイコパスの高校生と、それを追うジャーナリストの近藤公園。なんと彼までサイコパスだった。似合うな。殺人衝動というフレーズが何度も聞こえてきて、食事に似つかわしくないと思った。ふと、殺人は支配の最高峰なのか?と思った。相手の命を奪うわけだから。でも、サイコパスを見ていると自分の命すらどうでもいいように思えた。好き放題していたら沢村一樹から制裁あるよ。支配したい、征服したい。以前の恋人のことを思い出した。まあそういう男の人もいるよね、と聞き流していた。でも人と人は支配したりされたりするものじゃないし、愛はフラットなものだ。過去の回を録画していたのでそれも観てみた。捜査班のミッションが未然犯罪潜入調査だけあり、テーマがずっしり重い。あまり幸福な気持ちにはならないドラマだな…と思った。脇役陣はちょこちょこいい。柄本時生とか平田満とか。もちろん沢村一樹もいい。

20180803

昨日の夕暮れ、噴水の前で食事をした。デパ地下の焼き鳥と白胡麻のおにぎり、あったかい甜茶。夏に外で何かを食べると本当に美味しい。その後、ショップを巡って買物をした。havaianasのシックなビーチサンダルとシルバーメタリックのレインパンプスの二足を選んだ。ソファーに座って試し履きしていると、近くで裕福そうな母娘が服を選んでいた。娘の方はドールみたいに美しい子だった。ブラブラしていたらすっかり帰りが遅くなってしまった。最後のヨガを諦めて、ビルの谷間にあるデッキに座って休んだ。ゆるく吹く風が心地よかった。ぼんやりとしながらステンレスボトルのお茶を飲んだ。家に帰ると、友達から電話が来た。久しぶりだったので長話になった。彼女は未来を書き換えるためにニューヨークへ行ったという。住みたいの?と聞くと、一度はね、と返ってきた。未来かー、と私が呟くと、明日も未来だよ?と彼女は笑った。電話を終えてからぼんやり考えた。先のことを何も決めないのが自分のやりたいことかもしれない。私は今、十年前の未来を生きているのだと気づいた。十年。あれから僕たちは何かを信じてこれたかなぁ…夜空ノムコウの歌詞が浮かんだ。

20180802

昨日の夜、仕事明けにヨガ。八月から先生が変わっていることを忘れていた。レッスン中、姿を見ず声を頼りに動くので、慣れない先生の指示だと何?これでいいの?と戸惑う。まあまあ汗をかいたかな…といったところでレッスンが終わり、お風呂に入った。お湯に浸かりながらもう八月なのか、と思った。今年は何をしたかな。一月、恋愛、二月、恋愛、三月、仕事、四月、喘息、五月、勉強、六月、資産運用、七月、遊び。八月は…ノープランだった。恋愛?そうね、夏だし。ぼんやりと思いを巡らせた。知り合いの七割は私の名を…さんと呼ぶ。さん付けの方が距離感としてもしっくり来るのだけど、たまに男の人で…ちゃんと呼ぶ人がいる。軽い混乱も含めて無意識に懐いてしまう。そういえばこの前会った人はちゃん付けの人だ。帰り道、噴水を眺めてから駅へ向かった。小さな習慣は大事だ。家に帰り、食事をしながらドラマ、高嶺の花を観た。運転手の高井はももの父親だったのか…。お家元は芸術家に愛は要らないといった。そうかなぁと思った。愛は誰にでも要るよ。

20180801

昨日の夜、ヨガの後で噴水に寄った。一番近い水辺。噴水の前のベンチに座ると、右隣にはフラのレッスン帰りと思われるご婦人が二人座っていた。振りの手つきを見ていてわかった。左隣にはなぜかベンチの上で腕立て伏せをしている男の人がいた。私は噴水をぼんやり見たり、ステンレスボトルの水を飲んだりした。遠方の友達からメッセージが来て、夏休みの約束をした。彼女の知り合いのカフェに行こうという話になり、よくよく店の名前を見ると私が前から行ってみたいところだった。彼女は友達の友達で、一年以上前に一度イベントで顔を合わせて一緒に遊んだことあった。それきりだったけれど、先月ふらりと入ったカフェで偶然彼女と隣り合わせたのだ。カフェの前にランチしましょうね、と話してやりとりを終えた。家に帰ってドラマ、義母と娘のブルースを観た。みゆきが林間学校で不在の夜、亜希子と良一は初めて二人でお酒を飲んだ。帰り道で亜希子が良一にいった。私たちの結婚は二人三脚ではなくリレーです。シン…と心が静まった。バトンを渡し終えた良一はフェードアウトして、亜希子が走るのだ。その後、二人はぎこちなく手を繋いで歩いた。握手みたいなぎこちない握り方が可笑しかった。関係の始まり方なんて何でもいいよ。一緒にいるうちに愛情が芽生えたなら。亜希子作の株価チャート弁当はすごかったな。

20180731

昨日の夜、ヨガをパスして喫茶店へ行った。カウンター席に座ると、背中に扇風機の風が当たって心地よかった。日中ものすごく暑くて…ポカリスエット飲みたい…隣に座った友達はバテた顔をしていた。編み込みで髪をまとめ、額を出していて可愛かった。お茶を飲みながら、久しぶりに二人でゆっくりおしゃべりをした。彼女はいつのまにか、スッキリとした性別を感じさせない大人の顔になっていた。今まで見たどの顔とも違っていた。不思議に思っていると、彼女の話が始まった。…自分がしっかりしなくちゃいけないと思ったの。そう聞いて納得した。人を成長させるのは出会いなんだな、と改めて思った。私も最近いいなぁと思っている人がいて、と話した。おっ来たねー、彼女は身を乗り出した。瀕死の重傷だったし、もう二度とそんな気持ちは芽生えないんじゃないかと思っていたけど。私がいうと、人の心は再生するのよ、と彼女はいってニッコリ頷いた。心にやわらかい風が吹くのはいい。誰かのほんのささやかな好意に、心をふわりと掬い上げられることがある。例えば暗闇の中で人波に紛れた私を見つけて声をかけてくれる、そういうことが。それから、共通の知り合いのお祝いの相談をしたり、夏の遊びの約束をした。七月の終わり、ちょうど夏の折り返し。さらさらと涼しい風が入ってきた。振り返って窓の外を見るとすっかり夜だ。