沢渡日記

日々徒然

20200116

木曜の夜はたいてい、立ち上がれないほど疲れている。煮込みハンバーグを食べながら吉高ちゃんのドラマを観た。柄本祐はめちゃくちゃカッコいいな、と思った。佐々木蔵之介も色っぽい。カステラを食べて紅茶を飲んで、音楽に切り替えた。午後、仕事中にフワッと体が軽くなり、甘い解放感があった。転職が決まる面接の時に似ていた。何かあるのかなと思った。カーペットの上にごろりと横になって天井を眺める。私はあの人に好きだと伝えなくていいのだろうか。それは人生的にNGなのか。大きな決断をする時、いつもそう考える。現状維持ができないわけじゃなかったし、波風も立たない。なんとなく自分をごまかしながら行ける気がした。でも内側の人がNGを出したから、離婚したし、転職もした。当時は大変だったけれど、後悔はない。それが奥から出てきてしまったらもう逆らえないだろうな、と他人事のように思う。本当に大事なことは自分では決められない。

20200115

あなたのことは大事な友達だと思ってるから失礼のないようにしたくて。彼にメールを送信してから、文面を眺めた。そんな風に思ってたのか、と思った。この前会った夜、私は酔って彼にひどく甘えた発言をした。あれはやっぱり違ったなと思っていた。そのことを謝ると、酔ってたのはお互い様だから、と笑って返事があった。R1ヨーグルトを飲み、音楽を聴きながらぼんやりした。彼が恋を始めるつもりがなさそうなのを確認して、何とも言えない気持ちになった。ただ、これが正しいことなのは確かだ。私は彼をどんな風に好きかわからなかった。初詣で彼と神様の前に立つ気持ちになれなかった。でも彼とはずっと仲が良かったから、何とかなるかもしれないと思った。何とかって?自分にまた嘘をついて?最近の自分は同じことを繰り返しているな、と思った。ぐるぐるぐるぐる。キリがない。カルテットで真紀さんがすずめちゃんに言っていた。人を好きな気持ちって勝手にこぼれるものだ。

20200113

窓の外は青空で、淡いピンクのガーベラがよく映える。耐熱グラスの冷めた紅茶に口をつけ、カメラを構えて写真を撮った。今年はポートレートが撮りたいなと思う。誰かの何気ない表情を、自分のファインダーで切り取りたい。ふと、あの人の姿が浮かんだ。誰にも似ていない、独特な気配の美しい人。ずっと誰も好きになれないと思っていたけれど、彼がすでにいたからか、と気づいた。知ってたけどね、と呟く。そんなことはずっと前から。私はこれまで彼の知り合いと何人も付き合ったし、果てには目の前で恋を始めたりした。時々恋愛相談なんかして、全く友達みたいにずっと過ごしてきた。そのままでよかった。私はいつも彼の幸せを願っているし、彼の恋人になりたいわけじゃない。蜜入り林檎をかじって、音楽のボリュームを上げる。New days is just another day, そっけないくらいただリズム刻んで。Mummy-Dの声がくっきり流れてくる。ただ、こんな気持ちに気づいてしまったら、今年の相思相愛計画が無に帰してしまう。私はこれから誰かと付き合って、仕事帰りにちょっと飲んで、週末ならどちらかの部屋に泊まって、朝起きて珈琲を淹れて、近くの公園まで散歩する。そういうことがしたかったはずだ。あまりに混迷を極めている。彼が私を恋愛対象として見ることはないだろう。初めから分かっている。でも、そういうことではない。私は彼自身のことが好きで、彼が男を愛そうが女を愛そうが、そんなことはどうでもいいのだった。自分でも可笑しくなって、青空をまた見上げる。こっちの方が私の人生という気がする。

20200112

朝起きると扁桃腺が腫れていた。友達に連絡して午後の約束をキャンセルさせてもらった。昨日カラオケで歌いすぎたせいか体調を崩しているのか、今ひとつ判別出来なかった。ただ全然休めていないことは確かだった。うがいを一時間して、ロキソニンを飲んだ。買い出しだけは行かなくてはならない。お蕎麦を茹でて半熟卵を落とし、刻み海苔をたくさん振りかけて食べた。買い物の途中、カフェスペースでロイヤルゼリー入りのドリングを飲んで、試飲のコーヒーを飲んだ。彼を初詣に誘おうとすると体調がおかしくなることに気づいて、やっぱり違うんだなと思った。 自分に嘘をつかなくなってから、体の反応も敏感になった気がする。彼となら気心が知れてるし、付き合ったら上手くいく気がした。安易にそっちへ行きたい気持ちがあった。でも諦めよう。好きじゃないのだ。スーパーから帰ると倒れ込むように少し休んで、オーストラリア森林火災の記事をずっと読んだ。オーストラリアはとても乾燥した気候で、ユーカリの葉は大量のユーカリ油を含んでおり、太陽光で発火する。山火事はよくあることのようだが、今回の火災規模は異常で、地球温暖化が原因だという。オーストラリア固有の生態系すら変わる危惧がある…。冷蔵庫に食材を詰めて、お財布だけポーチに入れて家を出た。スーパーでコアラのマーチを買った。森林火災が発生するとコアラは移動して高い木へ逃げる。でも今回は逃げるべく全ての木が火で覆われている。地球は終焉に向かっているんだなと思った。それを早巻きにしているのは間違いなくヒトだ。不思議だと思う。どうして神様はヒトをこの地に降ろされたのか。それは地球の生態系にとって必要なことだったのか。

20190111

夕方、カフェに行った。コーヒーを飲みながら寛いだ。友達から猫の写真を見せてもらった。可愛い。どこにいったら好きになれる人に会えるのかなぁ、と私が呟くと、それは皆が思ってることなんじゃない?とのんびり彼女は答えた。そうかー。夜、カラオケに行き、楽しくはしゃいだ。温かい烏龍茶を飲みながら、久しぶりに何曲も歌った。知らない人ばかりの中で遊ぶと、旅先にいるような気分になる。場が盛り上がっていて迷ったけれど、終電で帰った。家に着いて、騒ぎすぎた後の虚脱感でぼんやりした。体が冷え切っていたので、電気毛布にくるまって、眠いいね、という番組をぼんやり観た。

20200110

仕事明け、鍼灸院へ行った。体に栄養が入っていませんよ、と先生に言われた。確かにこの一週間、仕事が忙しすぎてクタクタだった。自分の気力以上の気力を使い果たしてしまった。よく食べてください、と言われて、ハイと返事をした。帰りがけ、定食屋でとろろご飯と鉄板焼きの定食を食べた。ワカメのお吸い物が美味しかった。あの人に会いたかったけれど、気力的に微妙なので会いに行くのをやめて、ひとりでカフェへ行った。端の席に座って、ホットココアを飲みながらぼんやりした。会いたかったなと思った。お互いに敬意と距離を保ち、決して踏み入らず、楽しく話せる人。でも、実際に会うのと、会わずに相手を想うのは等価だ。美しい曲がかかったので、顔見知りのスタッフにCDジャケットを見せてもらった。ドミニク・ミラー、Chaos Theory。ここはいつも大人が静かな時間を過ごせる選曲で、とても居心地がいい。お会計を済ませると、今年もよろしくお願いします、と挨拶された。名前も知らないけれど、いい距離の人だ。私もニッコリと挨拶をした。

20200109

お風呂上がり、レモンジンジャーハーブティーを淹れて一息つく。今日も仕事が忙しかった。日中の集中力が百八十パーセントを超えている。仕事が終わって事務所を出るときはグッタリしていて、もう何も考えられない。ライムスターのミュージックビデオをぼんやり眺める。マイクの細道が流れている。シンとした、風情のある曲だ。今日も彼に会う気にならなかったなと思う。日々心境を観察しているが、能動的な方向に気持ちが傾かない。彼はやはり自分にとって昔好きだった人なのだろうか。相手をふんわり好きなくらいでは、こちらから誘う動機にはならない。以前はそれでも、まずは型から入って自分から誘ったり会ったりしていた。でも、気持ちが溢れてどうにもならない人でないと、結局は不完全燃焼で終わる。自分を誤魔化して空白を埋めた分、後で苦い思いをする。同じことをしても意味がない。わかっています、と呟く。違うことをしてはいけない。それを守るには強い心が要る。何にも流されず、自分だけの本当を生きるためには。R1ヨーグルトの蓋を開けて一息で飲む。冷たくてまったりした喉越しか気持ちいい。過ぎ去っていく雪、桜、紅葉。旅は道連れ、つながる縁。Mummy-Dの声はいつ聴いても色っぽいと思う。