沢渡日記

日々徒然

20201225

昨日の夜、カフェに行った。待ち合わせしたのは、可愛らしい女の子友達だ。私の顔を見ると、彼女は本当に嬉しそうな顔をしてくれた。会うのは夏以来だった。お茶を飲みながら、色んな話をした。渦中だというのにカフェは賑わっていた。金曜日だからかもしれない。会話の流れから、誰かに自分の空洞を埋めて欲しいか、と聞かれた。私はどちらかというと相手にあげたいほうで、貰いたいってほとんど思わないな…と答えた。彼女はニコニコと聞いていた。この人は私から何かを受け取れるようで、それがとても好きみたいだ。私は特に何をしているわけでよなく、なんとなくそばにいて思うことを話しているだけだけれど。そういえば、私の空洞が求める温度で、適量をさりげなく注いでくれるのはあの人だけだったなと思う。彼に会わなくなってから、特に空洞が乾いているわけではなかった。誰を失ってもそれなりにやっていくしかない。ただ、もう受け取れないんだな、と思うだけだ。ショコラを口に運ぶ彼女の横顔を眺めた。繊細な何かを注意深く拾うように、日々を大切に過ごす彼女は素敵だ。自分の傷さえも丁寧に扱う。…さんは潤ってる、と彼女は言った。どういう意味かと笑って聞き返すと、心がパサパサしてる人っているじゃないですか。その逆で、ちゃんと保湿されている、と彼女は答えた。面白い表現だなと思った。

20201222

今朝、ふと仕事を辞めることを決めた。今までずっと、決め時がわからなかった。今日から風の時代らしい。グレートコンジャクション。私の中でも、何か大きなことが起こった気がする。温かい煎茶を飲みつつ、プリンと焼き餅を食べた。

20201220

朝、ソイミルクティーを淹れて映画を観た。エミール・クストリッツァ監督の黒猫・白猫。胡桃とアーモンドに岩塩を振ってぐるぐる混ぜたものをお茶請けにした。壮大なドナウ川を眺めた。遠くへ行きたいと思う。午後からは女友達が二人遊びに来た。久しぶりだったのでお喋りに興じた。二人がお茶を飲むテーブル越しに、空が暮れていくのを眺めていた。いい景色だなと思った。

20201218

深夜、人並みの中で浮き上がって見える人がいた。正確にいうと、その人の気配を自分のセンサーが拾っている感じだった。そんな感覚は久しぶりだったから、気になってそちらをちらちら見ていた。こんなに見たら気づかれてしまうと思いながら。そのうちに、一度夏に会ったことのある人だと気づいた。友達に紹介されて、二言三言話した記憶があった。結局、あとでその人に話しかけた。銀河のように澄んだ目の人だった。大人にはそぐわないくらいキラキラと光っていて、どうやって生きてたらこんな目のままでいられるのだろうと思った。自分の名前だけ名乗って、相手の名前を聞くのを忘れてしまった。

20201217

夢の中で妹と歩道を歩いていた。予定日は来年の十月だね、と話していた。これから子供と二人でやっていけるかしら、と思いながら、でもお腹の中に光のような希望を感じた。父親が誰なのかははっきりわからなかった。産むなら…さんの子供がいいな、と私は口にした。そこで目が覚めた。寒い朝だった。ボーッとしたままベッドから起き出し、リビングのストーブをつけた。カーテンを細く開けると、夜明けが始まっていた。私はまだあの人のことが好きなんだなと思った。もう四ヶ月も会っていないのに。私はこれまで一度も子供を欲しいと思ったことがない。結婚していた頃でさえも。キッチンでフライパンを出し、鯵の干物を焼く。アイロンを温め、クローゼットからウールのスカートを出す。このまま白骨になるまで二人きりで話していたい、そう思うほど好きだったあの人の体に、私は触れたことがない。そんなことをする必要はなかった。私が触れたかったのはあの人の心の輪郭だったから。私が私であり続けるために、一人でひっそりと終わりにしたはずだ。方向としては合っていると思う。それなのに、なぜあの人は私の中から消えていかないのだろう。

20201212

職場のビルを出る→TSUTAYAで映画を二本借りる(愛しのタチアナ、桜桃の味)→本屋に寄って雑誌をめくる→あんかけ焼きそばを食べに行く→たれを一滴デニムにこぼす→店員さんに中性洗剤をつけたおしぼりを貸してもらう→応急処置→栗とスイートポテトのパフェを食べる→カフェオレを飲みに行く→村上さんちのところを読む→映画、コールド・フィーバーが好きだと書いてあったのでメモする(アイルランド永瀬正敏)→店員さんと音楽の話をする→帰宅、マスクを手洗い→デニムを洗濯→ボーッとする→各種ポイ活→シャワーに入る→マスクとデニムを干す→葛根湯を飲む→ドライヤーをかける→Apple MusicでJ-HIPHOPとエレクトロニックの新作をチェックする→ネットで漫画を読む→電球を青に変える→テクノでしばらく踊る→R1ヨーグルトを食べる→インテリアのサイトを眺める→サプリを飲む→映画を観る(愛しのタチアナ)

 

この間、次の仕事のことと、家のインテリアをどうするかを考えていた。それとバレンタインに好きな人が要ることも。

20201210

朝、移動フラグが立った。あまり長引かせてはいけない。そう思いながら窓辺できなこ豆乳を飲んだ。真横から差し込む冬の朝日を眺める。これまで色んな場所や人と別れてきたけれど、自分は端的に別れるという行為が好きなんだと思う。これまでの全部を捨てて身ひとつでどこかへ行き、また一から何かを始める。何も積み上げない。そして、さっぱりと過去のことは忘れてしまう。自分は本当に変わらないな…と思う。