20180215

起きたら午前三時半。またホットカーペットの上で寝てしまった。ストーブの温風で部屋の中がカラカラに乾燥している。深く眠ったような気がする。首に巻き付いていた白いマフラーを外して立ち上がる。お腹すいた…。冷蔵庫からチョコレートケーキと伊予柑を出す。ケーキをナイフで均等にカットして、今食べる分だけを白い平皿に移す。残りはラップでぴっちり包んでジップロックに入れて冷凍庫へ。ヤカンにお湯を沸かして熱いコーヒーを淹れる。伊予柑を左手に乗せて十字にナイフを入れ、皮を剥く。オレンジとチョコレートの組み合わせが好きなのだ。伊予柑美味しいなぁ…ジューシーで酸っぱくて、甘い。昨日の夜、恋人にバレンタインのチョコレートケーキを届けた。バナナ、レーズン、アーモンド。三種類あるよ。ケーキは一切れずつクッキングシートで包んで、透明セロハンと麻紐でラッピングしていた。へえー、色で中身が違うの？彼が紙袋から包みを出して見ている間、私はこっそり自分の左手首に赤い麻紐を結んだ。顔を上げた彼が、かしこまった様子でありがとうございます、といった。嬉しいのー？と私が尋ねると、嬉しい嬉しい、と彼は背を向けて答えた。彼がそっと袋をテーブルの上に置くのを見ながら、バレンタインは楽しい、と思った。愛情は色んな伝え方があるけど、このイベントは特別にスイートだ。あのね…これも。私は左手首を彼の目の前にすいと上げた。彼が笑って何か呟いた。