20180319

昨日の午後、時間を勘違いしてヨガのレッスンに間に合わなかった。お風呂セットを持っていたので、そのまま一駅歩いてホテルのスパへ行った。ラグジュアリー、頭の中で呟きながら。日曜の午後のスパは空いていた。グラスで冷たい水を一杯飲んで、スパの入り口を開けた。もくもくと湯気が満ちた先に広い浴槽がいくつもあり、周りには美しく花々がしつらえられていた。丁寧に髪を洗い、体を洗った。奥の浴槽が温泉だった。足の先からそっとお湯に浸かった。お湯は柔らかく体に吸い付いてきた。気持ちいい…。しばらく身を浸してのぼせてくると、浴槽のへりに仰向けになって目を閉じた。お湯が背中を流れていくのを感じた。じわりじわりと汗をかいた。プールみたいに広いジャグジーに入り、オレンジの香りがするミストサウナに入り、温泉に入り、冷たい水を飲む。繰り返していくうちに次第に心の曇りが洗い落とされていった。最後に残ったのは透明なさみしさだった。お風呂から上がってタオルを頭に巻きガウンを着た。窓際にリクライニングチェアが並ぶスペースがあって、休息することにした。ゆったりとチェアに身を預けて窓の外を見下ろした。空は薄曇りで、光のこもった雲が白っぽく街を照らしていた。都会の海、と思った。マガジンラックからSPURを取ってきてパラリパラリとめくった。週末美容特集。合間にはデンマークのヒュッゲの記事があった。日々の中の小さなあれこれを愛でること。好きな考え方だ。肌触りの良い服を着る、気に入ったマグでお茶を飲む、休みの日に近くの公園でピクニックする。ヒュッゲを感じるポイントのひとつに、謎が少ないこと、とあった。つまり刺激の少ない穏やかな状態のことだ。冷たい水を一口飲んでぼんやりした。またさみしさが湧き上がってきて、その気持ちを持て余した。本当は恋人ともっと頻繁に会いたいのかもしれない。それを言い出さないのは、相手の時間を大事にしたいからだ。サイドテーブルのメニューを手に取った。オレンジジュースが飲みたい気がした。空を眺めて考えているうちに居眠りをした。短いけれど深い眠りだった。目覚めると頭がスッキリしていた。窓の外はいつのまにか夕闇に変わっていて、チカチカと街の光が瞬いていた。雑誌を片付けて、もう一度お風呂に浸かりにいった。温泉でじっくりと半身浴をした。一度目よりもすんなりと汗が流れてきた。恋人にさみしいといっていいのだろうかと思った。困らせたくはなかった。でも私が今こうして困っているのだ。どうしたらいいかわからなくなって、深くお湯の中に身を沈めた。