20180321

昨日の夜中、家を出て終電に乗った。セブンカフェでコーヒーを買ってぶらぶら歩き、ビルに入って踊り場で飲んだ。小さくビートの刻まれる音が聴こえてきた。扉を開けると夜の匂いがした。受付でチケットを渡してラウンジを通ると男友達に会った。どんな感じ?人は結構入ってるけどあんまり踊ってないかな。フロアに入っていくとストイックなテクノが流れていた。少し周りを眺めてから、ロッカーへ荷物を置きにいった。サイドゴアブーツを脱いでスリッポンに履き替えた。カウンターに飲み物を買いに行くと何人も知り合いに会った。その度に挨拶したり立ち話をした。今夜の客層は他のイベントより品がある気がした。佇まいとか、目の澄み方でそう感じるのかもしれなかった。フロアでは演者が代わり、テクノのライブが始まった。真っ暗なフロアで踊りながら、私は久しぶりに自分を放した。踊りは祈りだ。私はたまたま人間の女という形をしているだけで、木々や小さな虫と同じだ。自然の一部だ。意識から染み出してくるように、金色の神様の腕を思い出した。それは京都にある、聖地のような森でのことだった。私は森の中を時間をかけて散策し、奥にあった窪みのような場所で倒木を椅子代わりにして座っていた。ぐるりと背の高い木々に囲まれて、辺りはしんとしていた。清浄な空気が満ちていて、私は深呼吸した。ここで歌を歌いなさい、そういわれた気がして、私は空を見上げた。もちろん誰もいなかった。私は息を吸い込んで、Callring Youを歌った。声が掠れたけれど構わずに。歌い終わった時、静かに金色の腕が私の頭にかざされた気がした。あの旅はそういう不思議なことが多かった。失恋直後で身体中の水分が失くなるまで泣いた後だったから、体も心も異様に澄み切っていたのかもしれない。今の私なら踊りを差し出すだろうと思った。あの森には神様がいる。それは私の体の翻訳で、他の人は別の表現をするかもしれない…。フロアが混んできたので後ろの方にスペースを見つけて下がった。スピーカーの前で両腕を広げて踊っていると、そばで男の人がひとりで踊っていた。ぶつかって来そうなくらい無軌道に、激しくターンして。楽しそうに笑っているのに、彼の意識はここにないような気がした。少し狂っているのかもしれないと思った。着ていた長袖のシャツを脱いで白いTシャツ一枚になって、尚も彼は激しく踊った。神様の森のことをまた思った。私は彼を見守るような気持ちで、ひらりひらりと身を交わしながら踊った。