20180324

昨日の夜、女友達に会いにバーへ行った。約束をしていたわけではなく、ただ会いたいと思ったのだ。偶然にも彼女は来ていて、ちょうど隣の席が空いていた。こんばんは。私はニッコリした。彼女はいつもどおり高僧のように気高く、…ちゃん、と美しく微笑んだ。一つ空いた右隣には知らない男性が座っていた。二人の間に入れてもらった私は、男性と初対面の挨拶をした。…です。名乗った彼と目を合わせた。恒星みたいに澄んだ目をしていると思った。今ふたりでバリ島の話をしていたのよ、と彼女はいった。三人で乾杯し、おしゃべりを始めた。海外旅行の話から、それぞれの最高のパートナーの話になった。二人のエピソードはありふれた恋愛ではなく、ほとんど奇跡と呼んでもおかしくなかった。多分、魅力が特殊なのだ。二人ともごく常識的な社会人のようだけれど、気配がクリアでまったく穢れがなかった。どこかの時点ですっきりと洗い清められたのだろう。そういう人には稀にしか会えない。今夜は貴重な夜になりそうだと思った。ひとしきり二人の話を聞いて感嘆したのち、私のパートナーは…と切り出した。その後何を話したらいいのかわからなくなった。二人が続きを待っているのがわかって、私はまだ途中です、と答えて笑った。恋人のことをエピソードとして誰かに説明するのは難しい。自分でもよくわからないのだ。ただ、彼はこの先もっとよくなるんじゃないかという漠然とした予感があった。それは二人にはいわなかった。扉が開き、女友達の知り合いが入ってきて賑やかな立ち話になった。私は店主に烏龍茶を頼み、隣の彼もおかわりを頼んだ。私は数日前の夜に行ったテクノのイベントの話をした。僕も行きましたよ、最高でしたよね、と彼はいって、二人でうんうんと頷いた。どの辺で踊っていました?と私が尋ねると、三時頃だったかな…フロアが混み合っていて、後ろのスピーカーのそばだけ空いてたからその辺りで、と彼はいった。あっと思った。この人、あのとき踊り狂っていた男の人だ…そう気づいて、私も近くにいたんですよ、あなたのことお見かけしました、とニッコリした。そうでしたか、僕その時どんな状態だったかなぁ、覚えてないけど。彼は思い出すような目をして笑った。それから、踊りは祈りだから、と彼はいった。私は静かに頷いた。ピースがカチッと合った気がした。こわいくらい偶然が重なる夜だ。