20180502

昨日の午後、長財布を買いに行った。今の財布は同じブランドのもので、すでに十年以上使っていた。まったく物持ちがいいにも程がある。私はキレイめOLを目指しているのだ。しばらく迷って白と黄色のコンビを選んだ。なんとなく公平な気がしたから。何の公平?わからないけれど。店を出て、中通りをしばらく歩くと雰囲気のいい居酒屋があった。扉を押すといらっしゃいませぇーと大きな声が飛んできた。奥の席に通されて、黒板のお品書きを見上げた。定食の種類は豊富だった。ハンバーグと迷ってトンカツにした。見知らぬ平日の街、遅めの昼休み。日常に紛れてみたくて、近くで働いている人がお財布一つで入って来そうな店を選んだ。さすがに蛍光色のキャップと大きな黒いリュックを脇に置いた自分は浮いていた。観察者は周囲から目立ってはいけないのだ。トンカツは立派で美味しかった。衣はカラリと揚がり、お肉はジューシーだった。テーブルの上のサラサラしたソースをかけて食べた。山盛りキャベツ、副菜のひじき煮と大根の漬物、アオサの味噌汁。大きな丼の白米を半分まで食べた。お腹いっぱい。ご飯少なめとお願いすればよかったなと思った。向かいに座ったショートカットの女の子は和風ハンバーグに箸を入れていた。退屈そうにスマホに視線を落としながら、白米の丼をあっという間に空にした。ごはんおかわり、斜向かいに座ったスーツ姿の男性が店員に声をかけた。皆すごいな…と感心した。白米のために主菜や副菜があるように見えた。自分の感覚が一変したのは炭水化物を摂らない時期があったからだ。その後、白米は当たり前のものではなくなり、とりわけ美味しい主菜のひとつになった。店を出て、ゆるい坂道を上って大きな書店に行った。まとまった休みがあると、色んなジャンルの本を好きなだけ乱読するという楽しみがある。気を引き締めるために美容関係の本を何冊か読んだ。美女とはやはりコツコツ作っていくものだなと再認識した。その後、平積みになっている写真集を手に取った。笠井爾示、東京の恋人。女の子ってこんなに無軌道で艶かしいのか。私には無理だと思った。扱い切れずに持て余してしまう。ふと、自分が同じ生き物の一端であることに既視感のようなズレを感じた。喉が乾いたので、テラスでアイスコーヒーを飲んだ。青空にはオレンジ色が淡く混ざっていた。夕暮れだ。やわらかな風が吹いて後れ毛を撫でた。テーブルに新緑の木陰が映り込んでいた。風薫る五月。いい言葉だ。