沢渡日記

日々徒然

20180625

昨日の夕方、喫茶店に行った。カウンターには偶然知り合いの男の人が来ていた。隣の席について店主に紅茶を頼んだ。さっきの歌会でコーヒーを飲みすぎてしまった。花柄のポットに入っていたコーヒーはコロンビアで、軽い酸味があり美味しかった。一度、歌会というものに出てみたくて、今回は歌人の友達に声をかけてもらった。参加者は十数人で、経験者から初心者まで様々だった。私の詠んだ短歌は現代詩のようだと皆が評した。皆の詠む歌は三十一字の中で世界がきれいに閉じていた。私の歌は茫漠としており読み手に解釈を任せるようなものだった。短歌はそうやって作るのか…。知らないことは沢山ある。降りしきる雪と五能線の情景を詠んだ人がいて、私はその歌がとても好きだった。紅茶を飲みながらそんな話をした。隣の彼は波のような柄のストールを首に巻き、ブルーのカットソーを着ていた。文章を書かない人のようだった。代わりに実在する優れたものを創っていた。彼は短歌の一覧をしばらく見つめて、これが好きと指を差した。歌人の友達が詠んだ歌だった。日向の中にある濃い影のような歌。その黒点に吸い込まれそうになる。それから彼の仕事の話をした。あなたの創るものは美しいと思う、と私はいった。会うたびに同じことを伝えている気がした。