沢渡日記

日々徒然

20180728

昨日の夜、花火を見た。友達と、友達の恋人と三人で。行くことは決めていたけれど、誰を誘うかは決めかねていた。どうしようかなぁ…仕事終わり、噴水の前のベンチでボンヤリ考えていた。そうしたら偶然彼女が通りかかった。花火行かない?私が誘うと彼女はニッコリした。堤防を降りて人波をかき分けながら進み、川岸のそばに場所を取った。大きな丸い月が低い空に浮かんでいた。三人並んで座って、次々と打ち上がる花火を見上げた。一番はしゃいでいたのは友達の恋人だった。おっきいねー!すごいねー!無邪気に声を上げる彼を横目で見て、私はクスクス笑った。会うのは初めてだった。彼女はいつものことのようで涼しい顔をしていた。楽しかったねぇ、三人で川沿いを抜けてぶらふらと夜道を歩いた。ちょっと、飲みましょうか。坂道を上ると以前よく来ていた町に出た。ふと思い出して、いい居酒屋があるんですよ、と私はいった。家族経営のこじんまりした店で、いつもガヤガヤと混んでいる。店先で少し待った。ヱビスの瓶ビールケースが積まれていて、彼がじっと中を覗き込んでいた。夜になるとそれほど暑くなく、風が微かに吹いていた。奇跡の花火日和だったね、彼女と二人でいい合った。席が空いて、三人でテーブル席に着いた。ヱビスの瓶ビールで乾杯した。麦芽百パーセントだから、彼はニコニコといった。たまたま食べ物に気を遣う顔ぶれだったので、私は陰陽の話をした。陰に傾くと鬱々とするし、陽に傾くとフワフワと落ち着きがなくなる。それを食べ物で調整するんです。敏感なんだね、と彼は神妙な顔でいった。うーん…メンテナンスが大変で。私は笑って塩辛をつついた。彼は自分で塩辛を作るのよ、今度おすそ分けするわ。彼女がいって、私は嬉しくてうんうん、と頷いた。と答えた。ねぇ、ヱビスのラベルに鯛が二匹いるの知ってる?めったに見つけられないんだけど、瓶ビールにしかないのよ。彼女がいった。知らない!私は答えた。あぁそれでさっき彼は外でケースを覗き込んでたのか。友達と友達の恋人と三人で会うのが好きなのは、彼らの日常が垣間見えるからだ。呼吸のリズムとか、当たり前に交わされる会話とか。はいお待ちー。焼き茄子と串盛りが運ばれて来た。