沢渡日記

日々徒然

20180815

昨日の午後、最高のカフェに行った。壁の色、家具の風合い、窓からの陽の差し方、緑の配置、小さく流れるレコード、セレクトされた古本。素敵なカフェは沢山ある。でも、この店に感じるのはありきたりの感動ではなかった。甘さはないけれど風が抜ける感じ。自分にとって完璧な空間美というものがあるんだなと思った。コーヒーを飲みながら友達と色んな話をした。彼女はあまり私に質問をしない。自分から話せば多分聞いてくれるのだろう。そういう気遣いを感じた。私も相手には話したいことを話してくれたらいいと思う。以前は会話の内容が大事だったけれど、最近は誰かと一緒に居ること自体を楽しむようになった。店主はカウンターで静かにコーヒーを淹れていた。この人の佇まいが好きだと思った。寡黙で、最小限の言葉を柔和な発音で話し、ごく控えめに微笑む。店を出る時、いいお店ですねと声をかけた。本当に気に入った時は言葉が出てこないものだなと思った。言葉だけでは全然追いつかない。夕方の風が吹き、徐々に蒸し暑さが和らいでいった。雑貨屋や眼鏡屋をのぞいてから、巨大な公園を散歩した。大きく伸びをするように、私と彼女は森林浴を満喫した。緑の匂いを吸い込むと気持ちが洗われるようだ。公園の出口に近づくと樹々がぽっかりと途切れ、低い空に青白い三日月が浮かんでいた。きれいねと二人で見上げた。