沢渡日記

日々徒然

20180904

昨日の夜、あの人とコーヒーを飲みに行った。大きな窓の外には夜景が見えて、雨が降ったり止んだりしていた。私は村上春樹の本の話をした。彼の小説を読むのはクラブでテクノを聴きながら踊るのと一緒なんです。自分の地下、潜在意識に降りていける。彼は面白そうに話を聴いていた。それにしても全くデートに似つかわしくない話だ。私はあえてそんな話をしているのか。わからなかった。帰りの車の中で、彼は私のメールを読んで文章書きであることを当てた。そんな人は初めてだったので驚いた。家の前に着いて、自宅の本棚から取ってきた中国行きのスロウ・ボートの文庫を貸した。午後の最後の芝生の頁を開いて、これを読んで、と私はいった。並んで話していると、彼のかがんだ肩と私の肩が何度か触れた。互いに別れ難いと思っているのがわかった。一週間ずっと会いたかったことも。私は彼の胸に額を押し付けて背中に腕を回した。体温が私よりも高かった。それから二人でギュッと抱きしめ合った。誰もいない夜道で、ありふれたラブストーリーみたいに。