20180907

昨日の夜、街は停電が続いていた。信号の止まった国道を車で走りながら、家に戻る前にコンビニへ寄ろうか、と恋人がいった。私はそうだねと頷いた。店内は大勢の人々でごった返しており、レジ待ちは長蛇の列だった。今日はもうお酒を飲むくらいしかないね。買い物カゴにビールと赤ワインを入れた。トマトジュースも。食品が置かれているはずの棚はキレイに空っぽだった。行列の最後尾に並んで二人で話していたら、急に低血糖の症状に襲われた。ガクッと体中の力が抜けて、額から冷汗が流れてきた。そういえば朝からまともに食事をしていなかった。ごめん…外で待っていてもいい?彼に断って店の外に出た。中通りの道路の縁石に座ってバッグを下ろした。生暖かい風が吹いていた。真っ暗な街、あちこちに路上駐車される車、あやふやなテンションの人々。ここは何処なのだろう、と思った。私が知っている街ではない気がした。少し汗が落ち着いて、フラリと立ち上がった。駐車場へ向かうと、ちょうど彼が店の扉から出て来た。はいこれ。小ぶりのペットボトルを手渡された。すぐ飲みなよ。心配そうな顔をした彼にお礼をいった。車に乗り込んでゆっくりと夜の街を走った。いただきます。蓋を開けてゴクゴクと飲んだ。百パーセントのパイナップルジュース。冷たくてギュッと甘くて、身体の隅々まで糖分が染み渡っていった。彼はまっすぐ前を見てハンドルを握っていた。ラジオからは災害情報が繰り返し流れていた。美味しい、私は呟いた。この味をずっと先まで憶えているだろうなと思った。