沢渡日記

日々徒然

20181015

昨日の午後、いつもと違う公園に行った。空は鉛色で、しとしと秋雨が降っていた。傘を差して濡れた遊歩道を歩き始めた。樹々を見上げるとほんのり紅葉が始まっていた。大きな池の前に着き、しばらく立ち止まって水面を眺めた。池の真ん中には中島が浮かんでいて、ここからは渡れないようだった。鴨たちが岸に上がって丸くなっていた。雨の日は水に浮かんでいると塩梅が良くないのだろうか。雌鴨が一羽、歩道に向かって歩いてきた。私の足元でピタリと止まったので、傘をさしかけた。雌鴨は動かずじっとしていた。何もあげるものはなかったし、期待もされていないようだった。大きなアレンジメントを抱えた花屋の女の子がふんわり微笑んで通り過ぎていった。雌鴨が池に戻り、私は歩き出した。日本庭園はこちら、と書かれた札を見つけて中に入ってみた。サァァァ、と水音がして近づくと、奥まったところに小さな滝があった。滝の水を受け止める大きな石には黄色の落ち葉が何枚も引っかかっていた。周りには誰もおらず、しばらく水音に耳を澄ませた。肩からかけているバッグが濡れ、ロールケーキの入った紙袋が濡れた。足先が冷たくなった。友達からLINEが入り、自宅までの道順が地図で送られてきた。そろそろ向かいましょうか。返事をして歩き出した。庭園の出口付近は高い木立が続いていた。背の高い白人のカップルが小声で話していた。ふわっと会釈をして通り過ぎた。