沢渡日記

日々徒然

20181024

昨日の夜、ピアノの即興で踊った。ライブはピアニストの定型の楽曲ではなく、テーマを元に自由に弾くものばかりだった。最初は大人しく座って聴いていた。でも途中からどうしても耳ではなく体で聴きたくなった。ジャンルは全く違うけれど、普段クラブで聴いているDJプレイにどこか通ずるものがあった。会場は広く、後ろの方まで下がると十分に踊れるスペースがあった。私はパンプスを静かに脱いで裸足になった。ビートのない音楽でどんな風に踊るのか自分でもわからなかった。スッと背筋を立てて音を待った。ピアノの旋律は風で、波で、光だった。意志を放し、視界を放し、ゆらりと柳がしなるように踊り出した。窓の向こうは真っ暗で、自分が踊る姿が時折映った。踊っているときは、ただ踊っている生き物であればいい。人間という狭苦しい枠組みから出て。ピアノの音が波打ち、私は両腕を上げて背を逸らした。ライブの後、焼き鳥を食べに行った。揚げ出し豆腐美味しいね、といいながら皆でハフハフと食べた。ブリが安いんだよ今年は、と隣の友だちがいった。向かいの友達は塩辛と大根おろしを和えて口に運び、お酒飲みたいなぁ…と呟いた。