沢渡日記

日々徒然

20181203

昨日の午後、リビングでお茶を飲んだ。ケーキ屋さんで買ったショートケーキを箱から出し、ウエッジウッドのティーカップを温めた。紅茶を淹れてテーブルに運ぶと、日差しはすでに傾き始めていた。金曜に二十四時間起きて遊ぶと、土曜は朦朧として過ごし、そして十二時間眠ってしまう。そうなると日曜に家事や買い出しが全部回ってくる。結局時間を前借りしているだけなのだ。この前、クラブのラウンジで知り合いの男性と話していた時のことを思い出した。顔見知りは沢山いるけど、実際は相手のことをほとんど知らない、と私がいうと、俺もだよ、と返ってきた。こういう場で会ったら皆と一緒に遊ぶけど、相手が昼間何してるか知らないし。そういうものか、と思った。確か同じような経験はスポーツをしていた頃にもあった。週に何度も同じコートに入ってラケットで打ち合いをする仲間でも、相手のことは苗字しか知らなかった。クラブなら真ん中に音楽が、コートの中なら真ん中にスポーツがあるから、後のことはざっくりでいい。その気楽さ。紅茶を一口飲んで、ショートケーキにフォークを入れた。真ん中の苺の部分が正方形で残るように、端からスポンジを切り崩していく。手を止めて眺めると、夕闇の中にショートケーキの王国があった。紅茶を飲みながらしばらく眺めた。王様はロマンティックが過ぎて芸術や恋愛にうつつを抜かし、国を滅ぼす。素敵だ。だって王様は、国が滅びることすらロマンティックだと思っているから。ショートケーキはバランスを崩してぼた、と皿の中で倒れた。