沢渡日記

日々徒然

20181225

昨日の午後、温かい紅茶を淹れた。家でゆっくり過ごすのは久しぶりだった。キース・ジャレットのピアノを流し、テーブルの上にキャンドルを灯した。チョコレートをつまんで林檎をかじり、窓の外を眺めた。冬の空は白っぽく、午後三時を過ぎると陽は斜めに傾き始めた。クリスマスイブは毎年誰かしらと過ごしていた気がするけれど、今年は一人がいいと思った。しばらくは誰のためでもなく、自分のためだけに過ごしたかった。炎にふっと息を吹きかけると、ロウソクが消えた時の匂いがした。灯りをつけて、金融知識の本を開いた。利回りの章を一通り読み、利率を求める計算式を確かめた。毎月分配型の損が具体的に記されていた。ここは頭に入るまで何度も読み返そうと思った。紅茶を一口飲んで、床に寝転がって天井を見つめた。部屋は暖かく、美しいピアノの旋律が宙を横切っていった。疲れ切ってただ眠りたい時は恋人のそばが一番いいと思うわ。女友達がいった。誰かいいと思っている人いないの?すぐ彼氏できそうだけど。別の女友達がいった。冬至も過ぎたことだし恋人を作ろう。そう決めたのはいいけれど、どうやって?ぼんやりと思いを巡らせた。一番初めに私に好きだと言ってくれる人がいたらその人と付き合う。なかなかいい案のような気がした。自分が惹かれる人はエキセントリックが過ぎる。そこに少し疲れてもいた。まあそうそう誰も来ないと思うけど、先のことはわからない。