沢渡日記

日々徒然

20180103

昨日の午後、和室でごろりとうつ伏せになって読書をした。森田真生氏の数学する身体。学生時代の私は数学が大の苦手で、いつも夏休みに補修を受けるようなタイプだった。でもこの本の内容は不思議なくらいすいすいと頭の中に入ってきた。そしてだんだん読み進めていくと、芸術や哲学の本を読んでいるような心持ちになった。特に三章からは一層哲学の趣を帯び、桃源郷かと思うほどの美しい世界になる。繰り返し数学者の岡潔氏と俳人松尾芭蕉が出てきて、彼らの思想が紹介される。私は一文読むたびにハッとして顔を上げたり、本を伏せて言葉が体に沁み入るのをじっと待ったりした。わかるというのは理解、理でわかることだけではなく、その奥に対象と一体化する情解というものがある、と岡潔氏は著書で書いているそうだ。情解、なんと美しい言葉だと思った。私は今まで数学というものを全く知らなかったんだなと思った。あまりに強烈に感動している自分に驚いた。例えるなら内臓がそっくり裏返りそうなほどで、こんなことは久しぶりだった。食事の後、緑茶を飲んで蜜柑を食べた。それから母が録画していた中学聖日記の最終回を観た。観覧車のシーンで号泣してしまった。恋愛は本当に理不尽なことが多くて、時には立ち直り難いほど大負けすることもある。でも無傷の純粋培養よりは全然いい。ラストシーン、大人になって聖ちゃんを迎えに行った黒岩くんはかっこよかった。