沢渡日記

日々徒然

20190618

昨日の夜、残業で遅くなった。小雨の降る中、気分を変えたくてゆっくり歩いた。湿度のせいか信号の光がばんやりと滲んで見えた。博愛が九割を占めるコンディションになって久しい。恋愛感情は薄い膜のように被さるばかりで、自分の中でどちらなのか区別がつかなくなっていた。一時的に誰かと付き合っても、別れてから友達になる。それを繰り返すばかりだ。でも、ただ一人だけ二度と会わないことを決めた人がいる。顔を見たら溢れてしまうし、体の細胞一粒一粒が喜ぶのがわかる。理屈ではない。制御ができない。考えてみるとそれしか恋愛ではないような気がしてくる。車が通らないことを確認して、足早に道路を渡った。濡れたアスファルトが鈍く光っていた。片想いで一番好ましいのは付き合う前ではなく、別れた後にひっそりと相手を想うことだ。二人の間にもう現実は存在しないし、発生する可能性もない。心は永遠に凪いだままだ。夜空を見上げると、雲が厚くかかっていて月は見えなかった。街灯の白い光を数えながら歩いた。