沢渡日記

日々徒然

20190713

夜になってから、身支度をして出掛けた。外で煙草が吸いたいと言う彼が少し前に出て行き、私は音楽を止めて部屋の電気を消した。傘は一つしか持たなかった。通りの向こうにいた彼に傘を差しかけ、持って、と渡した。電車に乗って四つ目の駅で降りた。駅前の通りは煌々と明るく、一度眠っているから変な感じだね、といい合った。夜のお祭り会場に着くと、男友達がバーカウンターに立っていた。久しぶり。少し話して奥に進むと女友達がたこ焼きの屋台を出していた。来てくれてありがとう。一番奥には日本酒を出すバーがあった。飲みましょうか。二人で話して一杯ずつ日本酒を頼んだ。わさびクリームチーズバゲットも頼んだ。タープの天井には小さな提灯いくつも吊るされ、雨が降り込むせいかカウンターの端は濡れていた。小さな透明のカップで乾杯をして、すいと日本酒を飲んだ。美味しいね。バゲッドを分け合って食べた。もう少し何か食べる?移動して私は女友達からたこ焼きを買った。壁にもたれてたこ焼きを食べていると、かっこいい人だね、女友達が耳打ちした。そうね、と思った。彼は古道具屋の出店の前で店主と話をしていた。ついさっきまで、私は彼の好意の種類が全くわからなかった。ただ人として興味があるんだなと思っていた。昼寝から目覚めた時に洪水みたいなキスをされて、そうか、と気づいた。バーカウンターでお喋りしていると彼が隣に来た。古道具屋で迷っていたものは結局買わなかったようだ。おなかすいたね、どこかでちゃんと何か食べようか。お祭り会場から出て、一つの傘に入って歩き出した。遠く向こうに繁華街の滲む光が見えた。あっちから来たっけ。もう一本先じゃない。彼が傘を持ち替えて私の左側に立った。こっちの方がよく聞こえるから。