沢渡日記

日々徒然

20190721

暑い、といいながら隣でぐうぐう眠る彼を置いて、私はそっと起き出した。今度こそ熟睡できるかと思ったけれど、浅い眠りしか訪れなかった。諦めてキッチンへ水を飲みに行き、窓を開けて風に当たりながら目薬をさした。朝九時半。二時間ほどしか眠っていない。夜遊びから帰ってきて、コンビニエンスストアで買った冷凍味噌ラーメンを作った。具は簡単に蒸しキャベツと海苔と白ごまにした。食事をしながらiPhoneSNSを見ていたら、彼から連絡が来ていることに気づいた。明け方、ドアの前に立つ彼は、缶ビールとカシューナッツの入った袋を提げていた。ようこそ。窓からの風に吹かれながら、椅子に座って二人でビールを飲んだ。送別会だったんだ、酔いでトロンとした目で彼は話し始めた。仕事仲間が遠くに行ってしまうらしい。さみしいな…という彼に、縁がある人とはまた会えるから、と私は言った。そうだよね…。彼はテーブルに突っ伏しながら返事をした。ふと、この前より随分素直になったなと思った。必要以上に大人に見せたり虚勢を張ったりしなくなった。ねぇ、どうしてここに来たの?私が彼に聞くと、…さんと飲みたかったから、と返ってきた。それだけ?私が言うと、大人の女の人の質問は難しいよ、と彼は俯いた。私は彼の髪をそっと触った。会いたかったの?彼は答えなかった。その沈黙の温度がよかった。焼肉くさいからシャワーを浴びたいと彼が言って、どうぞ、と案内してガス給湯器の電源を入れた。リビングに戻ってビールの続きを飲んでいると、俺の歯ブラシ何色だっけー?と声が聞こえてきた。黄色、と答えながら可笑しくなった。そういえば片付けずに置いたままにしていた。窓の外には雲ひとつないブルーの空が広がっていた。これから眠るのがもったいないくらいだ。