沢渡日記

日々徒然

20191202

マドレーヌを食べながら紅茶を飲んだ。温めて飲んでみてから、冷たい方が香りがよかったと気づいた。テレビでは瀬戸くんがフルーツタルトを作っている。テーブルに頬杖をついてぼんやり眺めた。今日はあまり元気が出ない。寝不足のせいかもしれない。仕事明け、図書館で勉強して、家に帰ってからホワイトセージに火をつけて部屋中の空気を入れ替え、ニット類を洗濯した。夏の夕方、灰皿に入っているセージの燃えかすを見た彼に、これ普通のハーブだから、と私は慌てて言った。匂いでわかるよ、と彼はちょっと心外みたいに答えた。へえ、と思った。窓の外に白い煙が出て行くのを眺めながら、涙が流れるのに任せた。こんなに泣いたら脱水になってしまうと思った。今まで何度も男と別れて、その度に泣き暮らしてきたのに全然進歩がない。別れはいつも初めてのことのように悲しい。紅茶を飲み終えてテレビを消し、坂本龍一のピアノに切り替えた。アイビーの生育を仔細に眺めた。成長が止まっている。日照時間が減ったせいだろうか。ごめんなさい、元気のない主人で。葉先にそっと触れた。他の男子とデートでもすればいいのかもしれない。でも、自分から何かをする気に全くなれなかった。のろのろと立ち上がってキッチンへ向かう。同じ状況は長くは続かないはずだ。多分この喪に服すような気持ちも。