20191207

朝、森の中を散歩した。マスクを外し、清冽な空気を肺いっぱいに吸い込む。時折、散歩する人とすれ違った。お腹が満たされているせいか、不意に気を失いそうな眠気が来る。夜遊び明け、ハイグレードなホテルのモーニングを食べに行った。品のいい宿泊客の朝食風景に紛れた。少しだけ空気を裏切るような気持ちになる。食後、コーヒーを飲みながらぼんやりした。真っ白な皿の上には、アップルパイとドライフルーツのパウンドケーキ、沢山のフルーツ。ふと、深夜の会話を思い出した。ユトレヒトでチェロの演奏を聴いたと彼は言った。私はぼんやりと街並みや音楽会の様子を思い浮かべた。チェロを一度だけ習ったことがある、と私は返した。穏やかな抑えたトーンで話をしながら、この人とは温度が似ていると思った。そういえば前も思ったことがある。木立を抜けて顔を上げる。空が青い。今日は一段と冷えそうだ。立ち枯れた紫陽花の写真を一枚撮った。