沢渡日記

日々徒然

20191213

コアントローを垂らしたアイスココアを飲んでいた。チョコレートにほんのりオレンジの香りがする。最後にはこの体からも出られる、という安堵がある。そして、もうどこにも移動しなくていい。死ぬことを考えると怖い、と話す友人の声を聞きながら、そう思っていた。向かいの男性がチョコレートケーキを食べていた。モミの木の枝が花瓶に品よく活けられていた。とても好きだった人から、恋人ができたと聞いた時のことを思い出した。この人ともう二度と別れなくていいんだなと思った。誰しもがいずれ、サラサラとした砂になる。それまでの永い夢だと考えたら、今日どうやって過ごすかが自ずと立ち現れてくる気がする。店を出て、イルミネーションで彩られた通りを二人で歩いた。キリッと冷えた空気が気持ちよかった。まだ出店やってるかな、と覗き込んだ時、パッとイルミネーションの灯りが消えた。十時だ。