沢渡日記

日々徒然

20191214

ランチの約束は十三時だった。友達が少し遅れるというので、三十分後に約束を変更しよう、と返事をした。午前中から出かけていたので、一旦ひとりで一服したかった。セブンでコーヒーを買うと、カップがクリスマスバージョンで赤のプリントだった。ちょっと楽しい。フリースペースのカウンターを目指すと、モーゼの十戒みたいに人がいなくなり、広いスペースが空いた。そこでゆっくりコーヒーを飲み、デパ地下で買ったキャラメルを食べた。イヤホンをつけてトム・ミッシュのアルバムを聴いた。時間が来ると移動して、友達とタイ料理を食べた。彼氏との関係性は前と変わらず不満が多いようだった。そっちはあまり考えないで、趣味とか他のことで楽しくしようかと思ってて。彼女はそう言った。そこから服の話になったけれど、私は暗澹たる気分になった。本当の問題に向き合わせないために、置き換えるものが世の中に溢れている。自分は出来るだけそういうことはしたくない、そう思ったばかりだった。でも仕方ない。皆、大事なことの優先順位が違うのだ。食事の後、ゆったりしたソファーのある店でお茶を飲んだ。アールグレイを飲んだのは何年振りだろう。出がけに猫と遊んでたら引っ掻かれて、隣に座った彼女は白い手首を私に見せた。幾つもの赤く、細い線。ミミズ腫れにはなっていなかった。触ってもいい?私は彼女に断って、その傷を一本一本、人差し指でそっとなぞった。