沢渡日記

日々徒然

20191216

夜九時、門出を祝った。仕事の才能がある人だと知っていたから、とても喜ばしい気持ちだった。よかったね、と私は何度も言った。まだわかんないよ、と彼は謙虚に答えた。わかるよ、と思ったけれど言わなかった。この先、彼は成功を収めるだろう。久しぶりに缶ビールを飲んだらすぐに酔っ払った。知り合いの何人かと談笑し、ベンチに座ってぼんやりした。流れてくる音楽を聴くともなしに聴いた。私は彼のことがとても好きだった。ただ、エネルギーの形が違う気がしていた。自分のエネルギーを統制したい人と、統制したくない人の差かもしれない。以前、彼に転職の話をした時のことを思い出した。すごく生き生きしてる、と彼は私の顔を見て言った。そうかな、と私は笑った。人は、自分のエネルギーが求めるところに流れていくのだと思った。そう考えると感慨深かった。さっき、今生の別れじゃないから、と彼は言った。私は何も言わずに彼の目を見た。そうだねと返さなかった。それは誰にもわからない。だから今夜、彼に会いに来たんだなと思った。縁があれば。それも言わなかった。