沢渡日記

日々徒然

20191227

午後十一時半、もう少し二人で飲むことにして外へ出た。川沿いの道は風が冷たくて、ダウンのジッパーを首元まで上げた。目当てのお店は十二時で閉店のようで、窓から漏れる灯りを立ち止まって眺めた。どこ行く?大通りを渡った先に四時までやってるお店あるよ。遠い!川向こうにバーとかあるんじゃない。思いつくところある?っていうか寒すき!酔いが醒める!真っ白な息を吐きながら、二人で好きなことをいい合って歩いた。背の高い彼は歩幅が広くて、すぐ差がついてしまう。私は彼の右腕を取って、もう少しゆっくり歩ける?と見上げた。あぁごめん、彼は歩調を緩めて歩き出した。彼と会うのは二年ぶりだったけれど、全然そんな気がしなかった。彼と私はしっくり来すぎる。それは出会ったばかりの頃からずっと感じていることだった。手が冷たい。彼のコートのポケットに手を入れて横断歩道を渡った。店につき、薄暗い二人掛けの席でカリラをロックで飲んだ。首元がすうすうするので彼のマフラーを借りて頭から巻いた。ヒジャブみたいに。上質なカシミヤの肌触りだった。草と花の香りが混ざったようないい匂いがした。