沢渡日記

日々徒然

20200113

窓の外は青空で、淡いピンクのガーベラがよく映える。耐熱グラスの冷めた紅茶に口をつけ、カメラを構えて写真を撮った。今年はポートレートが撮りたいなと思う。誰かの何気ない表情を、自分のファインダーで切り取りたい。ふと、あの人の姿が浮かんだ。誰にも似ていない、独特な気配の美しい人。ずっと誰も好きになれないと思っていたけれど、彼がすでにいたからか、と気づいた。知ってたけどね、と呟く。そんなことはずっと前から。私はこれまで彼の知り合いと何人も付き合ったし、果てには目の前で恋を始めたりした。時々恋愛相談なんかして、全く友達みたいにずっと過ごしてきた。そのままでよかった。私はいつも彼の幸せを願っているし、彼の恋人になりたいわけじゃない。蜜入り林檎をかじって、音楽のボリュームを上げる。New days is just another day, そっけないくらいただリズム刻んで。Mummy-Dの声がくっきり流れてくる。ただ、こんな気持ちに気づいてしまったら、今年の相思相愛計画が無に帰してしまう。私はこれから誰かと付き合って、仕事帰りにちょっと飲んで、週末ならどちらかの部屋に泊まって、朝起きて珈琲を淹れて、近くの公園まで散歩する。そういうことがしたかったはずだ。あまりに混迷を極めている。彼が私を恋愛対象として見ることはないだろう。初めから分かっている。でも、そういうことではない。私は彼自身のことが好きで、彼が男を愛そうが女を愛そうが、そんなことはどうでもいいのだった。自分でも可笑しくなって、青空をまた見上げる。こっちの方が私の人生という気がする。