沢渡日記

日々徒然

20200517

夕方、晴れてきたので公園の中を散歩した。林の中に分け入って見上げると、新緑の木々に白い花、そして切れ切れに見える青空のコントラストがきれいだ。コロナが世を席巻し始めてから、SNSでマスク越しのキス、という写真の投稿を多く見るようになった。最初はふうん、と思ってたけれど、考えてみたらものすごいツボだと気づいた。薄皮一枚隔てている、というところがいい。多分あるかなきかの唇の感触はあって、でも実際触れているのはマスクで、そのもどかしさ、叶っているのか叶っていないのかよくわからないおあずけ感がいい。もはや通常のキスは生々しさすら感じるようになってきた。マスク越しなら、相手の安全も自分の安全も守られる。これは是非ともしてみたいと思う。もし、お互いにそうしたければマスクを剥ぎ取ればいいし、そうして剥がされるのも自分から外すのも妙に色気がある。二段階の高揚。そしてただのキスなのに、いけないことをしている感が多大にある。この無闇にハードルが上がったところはコロナに拍手を送りたい。そして、私が一番好きなストーリーは、マスク越しで好きな人とキスをして、結局直にキスをする機会は訪れなかった、というもの。これは切ない。珠玉の思い出になるよ。…また禁欲的なことで一人で盛り上がってしまったなと思う。これは厳しいアレルギー療法を乗り越える最中に自分の中で生み出された快楽だ。神社でお参りをしてから、御神木にそっと触れた。好きな人と、どちらも無理をしない形で良い関係になりたい。そう願った。帰り道にスーパーへ寄って苺を買った。