沢渡日記

日々徒然

20210612

午後、本を読んで過ごした。村上春樹の「品川猿の告白」を読み終えて目を閉じた。好きな女の名前を盗むなんて、なんでエロティックなのだろう。フジコ・ヘミングの謝肉祭を流して、ぼんやりと件の人のことを考えた。線を越えることは絶対にあり得ない。禁じているから触りたいのか?わからなかった。自分の中の妖婦がくっきりと顕れるのは久しぶりだった。件の人を情欲でめちゃくちゃにして、粉々にしてしまいたい。でも、もちろんそんなことはしない。楚々とした顔でいつも通りに接するのだ。こんな気持ちを抱いていることも相手には決して明かさない。これは愛ではない。わかっている。時計を見ると五時半を回るところだ。もうすぐ女友達が来る時間だ。空には綺麗な夕方が始まっている。