沢渡日記

日々徒然

20171209

朝十時、インターフォンの音で起きる。三十分早いよ…ベッドから出て応答を済ませ、部屋の中をざっと見回す。干していた洗濯物を寝室に運び、玄関のドアを開ける。十二月に入ってからストーブの調子が悪く、修理を頼んでいたのだ。感じのいい作業の人に挨拶し、早速始めてもらう。洗濯機にタオルケットを入れて回す。Apple MusicでJ-POPをかけると、ほわんと堀込泰行の声が流れてくる。オシャレほうのエイリアンズだ。原曲のほうがずっと好きだが修理中のBGMには合わない気がした。灯油の流れてくるストロー部分に煤がついていて、今まで上手く流れていなかったのだと説明を受ける。清掃して燃焼も正常になったとのこと。ホッとする。昨日作っておいた白菜のスープ煮を温めて、切れてるチーズを落として食べる。優しい味だ。昨日の夜、クラブへ行った。技術に信頼のあるDJ陣のイベントで、私は安心して足を止めずに踊った。最近ステップを複雑化させることが自分の中で流行っていて、表で取ったり裏で取ったり表裏を混ぜたりしながら遊んでいた。十六秒子で帳尻をあわせる。そしてまた次は違うステップの組み合わせ。時折視線を感じていたけれど、真っ暗なのでよくわからなかった。合間にラウンジで休んでいると男性に声をかけられた。あなたの踊りを後ろでずっと見てた。なにかダンスをやってるの?サルサを…と答えた。最近本当によく聞かれるのだけど、自分の踊りはバレエとフラメンコとヒップホップと創作が混ざっているので決してサルサではない。あなたはいつ頃からそんな風に踊るの、どんな気持ちで踊っているの?彼に聞かれて、珍しい質問だと思った。エモーショナルだ。そうですね…私の振りは音が、DJが決めています、私は答えた。意志で踊っているわけではないんです。そういうことをいっても伝わる気がした。僕は踊りに来たのが二十年ぶりなんです、と彼はいった。踊るのって楽しい。彼がそういって笑って、ここはどんなひとでも楽しめる場です、と私もニコニコして答えた。きれいなものを見せてくれてありがとう、話せて嬉しかった。そういわれて、私はぺこりとしてお礼をいった。今夜、少しだけ世界に還せたと思った。私が誰かからもらった感動は直接本人に返せないけれど、別の誰かに返すことはできる。恩送りと同じだ。フロアではさっきまでプレイしていたDJが揺れていて、隣に並んで少し一緒に踊った。