20180225

昨日の夜、借りていたDVDを返しにいった。夜はまだ始まったばかりで、バーのカウンターには私と男友達の二人だけだった。この前、久しぶりに酒で…。彼が話し始めた。友達と飲んだり一人で飲んだりしてたら、結局九時間飲み続けちゃったんですよね。私は驚いて、それだけ飲めるのがすごいわ…と呟いた。九時間?私の就業時間より長いではないか。たまにダメな日ってあるんですよね、そういう自分のこと…さんには絶対に見られたくない。彼はいった。どうして?別にいいのに。私は返した。どんな彼を見てもへぇーと思うだけのような気がした。私と彼は生き別れの双子かと思うほど性質が似ているから、少しひいき目に見ているのかもしれない。扉が開いて、共通の知り合いが入ってきた。凛と背筋を伸ばした美しい大人の女性。私の左隣に座った彼女は赤ワインをオーダーした。…さん!会えてよかった、聞いてほしいことあって。男友達が彼女と話し始めて、私は彼らに挟まれてなんとなくニコニコしていた。流れてくる異国の太鼓の音を聴きながら、恋人のことを少し考えた。この前、感覚の違いに驚いた出来事があった。それは違うと思うの、私には受け入れられない。彼にそういった。恋人にはどんなあなたでもいいよ、とは思えなかったし、自分の感覚を理解してほしかった。でも、私とあの人は全然別の場所で、全然違う人たちに囲まれて生きてきたのだ。男友達の知り合いが何人か店に入ってきて、彼は場所を移って来月のイベントの話を始めた。私は隣の女性とぽつりぽつりと言葉を交わした。本を読むのか、という話の流れから、宮本輝の小説の話になった。人は人を変えることはできないわ、彼女はいった。ただ見ていることしかできない。はい…。私は返事をして彼女の横顔を見た。慈愛に満ちた口角のライン。さぁぁぁと夏の雨みたいな涙が出てきて、自分でも驚いた。すみません…ハンカチで涙を抑えて私は俯いた。泣かせちゃった、ごめんなさいね。彼女はまっすぐ前を見つめたままそういって、ただ見ているだけが一番難しいんだけどね、と呟いた。男友達が私たちの様子に気づいて静かになった。私は恋人をちゃんと大事にできているのかな…考えは浮かんでは泡のように消えていき、うまく一つにまとまらなかった。隣の彼女が赤ワインのおかわりを頼んだ。私にも赤ワインください。私はカウンターに向かって声をかけた。