沢渡日記

日々徒然

20201217

夢の中で妹と歩道を歩いていた。予定日は来年の十月だね、と話していた。これから子供と二人でやっていけるかしら、と思いながら、でもお腹の中に光のような希望を感じた。父親が誰なのかははっきりわからなかった。産むなら…さんの子供がいいな、と私は口にした。そこで目が覚めた。寒い朝だった。ボーッとしたままベッドから起き出し、リビングのストーブをつけた。カーテンを細く開けると、夜明けが始まっていた。私はまだあの人のことが好きなんだなと思った。もう四ヶ月も会っていないのに。私はこれまで一度も子供を欲しいと思ったことがない。結婚していた頃でさえも。キッチンでフライパンを出し、鯵の干物を焼く。アイロンを温め、クローゼットからウールのスカートを出す。このまま白骨になるまで二人きりで話していたい、そう思うほど好きだったあの人の体に、私は触れたことがない。そんなことをする必要はなかった。私が触れたかったのはあの人の心の輪郭だったから。私が私であり続けるために、一人でひっそりと終わりにしたはずだ。方向としては合っていると思う。それなのに、なぜあの人は私の中から消えていかないのだろう。