沢渡日記

日々徒然

20210424

明け方、スクリュードライバーを飲んだ。およそ十年ぶりだった。グレープフルーツとオレンジジュースの味がして、こんな味だったっけ、と思った。美味しい、ニッコリしてグラスを返そうとすると、いっぱい飲んでいいよ、と隣に立つ彼は笑った。背の高い人だ。少し引いて私の姿を眺めた彼が、…ちゃんって面白いよね。と言う。???どの辺が?と尋ねた。なんか全体、とニコニコと返ってきた。…くんも、相当面白いよ、と私は言った。こういう人には今まで会ったことがない。身長差があるので、私が話す時に彼は屈み込む。なんかいいなと思った。それからなんとなく話しながら一緒にいた。お互いに淡く気に入っているのかもしれない。コーヒー好き?と私は彼に尋ねた。詳しくないけど大好き、と彼はにこやかに答えた。今度一緒に飲みましょう?と誘うのを咄嗟にやめて、変な誤魔化しかたをしてしまった。知り合って何ヶ月か経ち、時折ばったり会った。いつも周囲から浮いて見えて、不思議と気になる人だった。でも、上手くジャッジができなかった。大人なのに子供みたいな澄んだ目を持っていて、笑顔に一切の邪気がなく、あまりに野生的で内側からスッキリと光っている。そんな人と二人でコーヒーを飲んで、一体どんな話をしたらいいのだろう。知的な会話遊びなんて無意味で、いっそ肌に触れたほうがわかるんじゃないかとすら思ってしまう。だから、何もしないことを選んだ。得体の知れない人に惹かれるのは常だけれど、私には私の人生がある。