20200610
シャワーの後、ざっとドライヤーをかけて生乾きの髪を巻き上げて簪で留め、キッチンに立つ。玉ねぎを刻んで炒め、豆乳にめんつゆを足して和風クリームソースを作る。さっき、仕事で疲れたーと呟いたら、タイムリーにお疲れ様、と彼が連絡をくれた。どうして?と考える。嬉しいけど、嬉しくなりすぎる。誰にでも似たようなことをしているなら、私には控えてほしいと思う。好きな人から頻繁に連絡があると、フラットに気持ちを保つのが難しくなる。あなたも私のことが好きなんですねと変換したくなる。この前、彼と一緒に長い時間を過ごした。二人ではなく、周りには彼の知り合いや私の知り合いが何人かいた。ただお酒を飲んで話したりボーッとしていただけだけど、誰かと八時間一緒にいて気づまりじゃないのは私にとって奇跡に近かった。品のある面白い人だから会話をしていると楽しくて気持ちがいい。でも、一番好きなのは彼の気配だった。なんとなくそばにいて、柔らかいバリトンの声を聞いていたいのだった。パスタを茹で上げて、焼いた豚肉としめじを混ぜたクリームソースに絡める。粗挽き黒胡椒をザッザッと振る。水菜とレタスのサラダに、ミニトマトと炙った揚げを小さく刻んで添える。もう一度好きって言ってくれないかなと思う。二回言われれば、多分ハグだ。
20200609
夕方、好きな人がちょっとした連絡をくれたのでやりとりをした。夜、逃げ恥の四話目を観た。平匡さんが切ない。あなたの自由意志です、だなんて。本当のことはなかなか口に出せない。気持ちがわかりすぎる。この前会ったばかりなのに、もう彼に会いたくなっている自分を持て余している。
20200605
久しぶりの週五勤務を終えて抜け殻になる。公園のベンチに座って、ボーッと夕空を眺める。いつの間にか季節が初夏になっている、と気づく。風の匂いや植物の気配が一段濃くなった。午後六時半。このまま飲みに行くこととする。頭も体も疲れすぎていて限界だし、ご飯を食べたら力が抜けて終了してしまいそうだ。少し迷って、好きな人に連絡をする。
20200526
仕事明け、友達とコーヒーカウンターでお茶を飲む。一ヶ月ぶり?もっとかもしれない。積もる話は尽きず。もうがんばりたくないし疲れた…と思ってたけど、何とか持ち直す。帰宅して、キッチンでセロリと揚げを軽く炒めて、冷たい讃岐うどんにキムチと一緒に和えた。爽やかな味わいになった。夏の夕ご飯という雰囲気。食後、仕事の宿題に取り掛かる。一時間以上かかったが、だいぶ図表を書くのも解を出すのも早くなってきた。ようやく寛いで逃げ恥の二話目を見る。プロの独身、平匡さんにキュンとした。刺激より平穏、わかるよ。でも、ここからだんだん気持ちが揺れていくんですね。脇役陣も好きな俳優ばっかりで楽しい。お父さんのモロ師岡、よかったね…。好きな人のことは、少し嫌いになるくらいでちょうどいい量になる気がした。何が何だかわからないけれど好きで、持ち場を離れたいとすら思う。一緒にいると細胞が喜びすぎるのだ。かつて私にも平匡さんのように平穏であることを幸福に感じる時期があった。戻りたいとは思わないが進化したい。
20200525
全く仕事の勉強に身が入らない。だんだんドツボにハマっていった。私はあの人に会って混乱している。自分の気持ちのベクトルがどこに向かっているのかがわからない。魅力を感じるけれど、深入りはしたくない。今の距離で仲良いままでいたいけど、それにしては好意の量が多い。ここから出たい、とまた思った。いっそ全然別な人とエアスポットにぽんと入るように恋に落ちたいわ。