沢渡日記

日々徒然

20201202

夜、ヘウレーカを観ながらチーズケーキを食べる。猫科の特集。自分は猫に似ていると思う。犬みたいな顔もできるが、本質的に人の言うことを全然聞かないところ。距離を詰められるとそれがどんな理由であってもめちゃくちゃイヤがるところ。一人が一番寛げるところ。昔から通っているケーキ屋さんのチーズケーキは驚くほど美味しい。濃いコーヒーを淹れたかったけれど、夜なのでミルクたっぷりのカフェオレにした。ふと、漫然と生きたいと思った。日々ギリギリの努力をすることなしに。昨日よりも成長していたいと強く思うことなく。適当にやっても当たり前のように明日や来年が来ると仮定したい。

20201127

久しぶりに一人じゃない夜を過ごした。気心の知れた人達と何となく一緒にいるのはいいものだと思った。女三人でファストフード店に行った。ホットガーナミルクチョコレートラテを飲んだ。美味しかった。赤いカップに馴染み深いロゴが入っていた。女友達が、カウンセラーが苦手だと話していたのが印象的だった。私はあなたのことを何も知らないのに、どうして私だけ自分のことを話さなきゃいけないの?そんな風に考えたことはなかった。多分、私は相手を人ではなくツールだと思っているのだろう。エピソードを喋るのが好きだし、例えば内臓の一部切り取って話しても、私の全貌がその人にわかるわけじゃない。その後、友達のいる店に行くと知り合いに会って、賑やかに過ごした。自動的に人懐っこくてよく笑う自分が出てきた。久しぶりに社交用の人を見たなと思った。炙りたらこ、おでん、ハンバーグ。好きなものを頼んで、芋焼酎のお湯割り飲んだ。最近見た映画の話をすると、沢山お勧めを教えてもらう。センスのいい友達がいるのは嬉しいことだ。ふと、彼女から、…ちゃんはわかりやすく変わってる。自分で変わってることの自覚がないから普通っぽくも振る舞わない、と言われたことを思い出した。マイペースすぎるのかも知れない。

20201126

夜十時のニュースを観ていた。医療崩壊間近。状況は深刻だ。健康であることは国民の最優先事項の仕事だなと思う。もはや個人のモラルの問題。一人でルールを決めて勝手に実行するのが好きなのはこういう時に役に立つ。カマンベールチーズとプルーンを食べていたらワインが飲みたくなったけれど家にはない。花瓶に生けた紫色のカーネーションを眺める。うちにあるガラスの花器は緑色のものが多いなと思う。十一月に入ってから突然、本格的に部屋の片付けを始めた。家にいる時間が長くなったので前より快適さを求める。こんなに保冷剤要らないよね、とか。身の回りをスッキリすると気持ちに隙間ができる気がする。内面にもスペースを作って、この先の身の振り方を考える。何らかのタイミングが訪れるのを待っている。

20201125

夜、キッチンでツナとトマトのリゾットを作りながらふと思いついた。ずっと一緒にいるパートナーを探すのは、一生使いたい家具や道具を選ぶのと似た感覚なのかもしれない。好きなフォルムで、質が良くて飽きのこないもの。そんなことに今頃気づいてどうするのか、とも思う。今まで誰とも一生一緒にいると想像したことがなかったし、特に望んでいなかった。その上、最近ではソロの匠として自己完結してしまっている。ジャガイモをつぶして牛乳を垂らして練り混ぜる。岩塩を振る。水菜の上に焼いた豚肉と乗せ、しめじのもろみソースをかける。好きな人はできるが付き合いたいとイコールではない。この高等技術を身につけてしまったら、誰とも付き合う必要がなくなった。来年はパートナーがいる予定なのだが、全く先のことは見えない。

20201123

午前中から不要な靴と服の処分をする。玄関の掃除をして、家中の鏡を磨く。勢い余って窓拭きも始めてしまい、クタクタに疲れる。今日は勤労に感謝をする日なのだ。ゆっくりおちゃをしてから、午後、映画を観る。砂漠の映像が見たくて、シェルタリング・スカイを借りた。愛についての話だったが、愛のことはあまり体に入れたくなくて、避けるように景色ばかりを観ていた。妻の恋人になるキャラバンの男性が素敵だった。見終わってから、ボーッとして家事もできない状態になり、のろのろと立ち上がった。頭を切り替えたかった。メロディアスではない、日本語で喋ってるような声が聞きたい。ふと思いついて、音楽に詳しい知り合いに、知的な声のラップを探していると言ってみると、すぐに答えが返ってきた。この曲いいよ、と勧めてくれた曲がとてもよかった。お礼を送り、キッチンで蓮根を素揚げした。私の男性の知り合いは音楽の人ばかりだな、とまた思った。野球の人とかゲームの人とか、私の人生にはほとんど登場しない。そういえばこの人に最後に会ったのはいつだっただろう。コロナの前だとして、一年くらい前かもしれない。

20201122

午前中から部屋の片付けをし、午後、買い物に行く。百円ショップで竹炭と竹串、洗濯槽用洗剤を買う。じっくり全部の棚を眺めたが、素晴らしい品揃えだと思った。家に戻って洗濯槽の洗浄をしながら溜まっていた事務処理をした。夜、食後に映画を観た。ライフ・イズ・アクアティック。妙に気に入って、ここ二週間で何度も観ていた。ウェス・アンダーソン監督の中で一番好きなのはダージリン急行。観ているとニコニコしてしまう。家にいる時間が増えて、映画を観る時間を作るようになった。飲みに行く、夜遊びに行く、運動するを優先していた頃はまとまった時間が全く取れなかった。ここ十年ほどで観たい映画が溜まっている。遠くに行きたいけれど行けないから、異国の景色を堪能できる映画を選ぶ。ハンブルク、モロッコブエノスアイレス、上海。ダージリン急行で、兄弟三人がインドの田舎でお葬式に参列するシーンがあった。白い花を沢山使う、厳かで美しい儀式だった。異文化に触れたいのかもしれない。

20201122

下取りの旧iPhoneをポストに投函して、近所へ買い物へ行く。100円ショップで竹炭と竹串、洗濯槽の洗浄液を買い、スーパーで牛乳を買った。家に戻り、洗濯機の洗浄をしながらポイントサイトの登録を行う。はじめての食事というかお茶の時間は、夕方五時を過ぎてしまった。濃いミルクティーを淹れて、昨日焼いたパウンドケーキを食べる。アンドプレミアムをじっくり眺める。さりげないけれど豊かな生活がしたいと思う。派手で大味の日々はもう飽きた。