沢渡日記

日々徒然

20181119

昨日の午後、ヨガの帰りにパン屋へ寄った。パニーニが美味しそうだったので一つ買うと、スープをおつけします、と店員の女性が言った。あっさりとしたクラムチャウダーのような味だった。温まる。パニーニに挟んである厚切りのハムが美味しかった。半分まで食べて紙袋に入れ、近くのコーヒースタンドへ行った。本日のコーヒーをお願いします。スタンドそばのフリースペースに座って、淹れたてのコーヒーと一緒に残りのパニーニを食べた。これがやりたかったの。キャスケットにトレーナー、コーデュロイタイト、気分出る。映画の時間まで三十分以上あったので、イヤフォンをつけてピアノのアルバムを聴いた。映画館に向かい、チリー・ゴンザレスのドキュメンタリー映画を観た。冒頭から言葉を失うほど強烈だった。俺を愛するだけじゃダメだ、俺を憎んでくれ、彼はいった。ただその生き様、情熱に圧倒された。電子音楽で挑発的なラップをしてきた彼が、突然、静謐で美しいピアノ曲を紡ぎ出す。私は滂沱の涙を流した。こんな人は見たことがない。私はこの人生で一体何をしてきたのだろうと思った。彼を前にしたら何もしてこなかったに等しい。いまだかつてなく強く揺さぶられた。八十五分の映画とは思えないほど消耗し、フラフラしながらビルを出た。外の空気を深く吸い込んで夜空を見上げた。まっすぐ家に帰っても眠れないかもしれない。少しお酒でも飲もうか。ぼんやりと思い浮かぶ店があった。日曜だけどやってるかな。私は東に向かって歩き始めた。