沢渡日記

日々徒然

20190913

図書館から出ると、微かな風が吹いていた。少し肌寒い。夜空を見上げると、丸く静かに光る満月が見えた。今夜は中秋の名月だ。歩きながらメッセージを送った。月が綺麗ですね。今夜はどちらですか。電車に乗って、一つ先の駅で降りて喫茶店に入った。店は空いていた。私は窓際の席に座って、店主と少し話した。ナポリタンとレモンスカッシュをお願いします。カウンターに積まれた文庫本から、枡野浩一の短歌集を読んだ。永遠の愛を誓うよ永遠もあと半年で終わりらしいし。どこか乾いていて、本当は優しくしたいのにできない。そういう切実で胸を突く歌が多かった。ナポリタンの太麺をこっくりとしたソースに絡めて食べた。美味しかった。月見酒をしましょうか。彼とメッセージのやり取りをした。彼はまだ仕事中で、まだもう少しかかるという。ふと、私は夜中に男に会うことが多いなと思った。レモンスカッシュが出てきて、ストローで飲みながらぼんやりした。つきあって日が浅いのでまだ君の傷つけ方がよくわからない。この心情はよくわかった。昔は相手を傷つけることで想いを測ろうとしていた気がする。今はもうそんな風にはしないけれど。閉店の時間になって店を出た。駅までの道を歩きながら、久しぶりに甘やかな気持ちの一時間だった、と思った。男と待ち合わせを決めるまでのやりとり。私はずっと、どうして彼に会いたいのかわからなかった。自分の気持ちの色は彼に会えばわかるのかもしれない。最寄駅で降りて、コンビニに寄った。赤ワインの小瓶を一本買って、ブラブラと家に帰った。