沢渡日記

日々徒然

20180409

昨日の午後、買い出しを済ませてからキッチンでステーキを焼いた。食べないと元気にならない、と急に思い立ったのだ。付け合せに人参のグラッセ風ともやしのソテー、目玉焼きをつけた。食事の後、女友達に連絡した。今、Eテレで哲学の番組を観てるよー、と彼女はいった。テーマは愛だって。私もテレビをつけて、今観てる、と返事をした。ちょうど、フロムという哲学者の言葉が流れてきた。愛とは特定の誰かに対する関係ではない。世界全体に対して人がどう関わるかを決定する態度、性格の方向性のことをいう。それを聞いてハッとした。これって…と思った。彼女からまたメッセージが届いた。…ちゃんはA?それともB?私はAのリセット。画面には二つの選択が提示されていた。今までの全ての記憶がなくなるけれど、必ず幸せになれるリセットのAボタンと、このまま人生を続けるBボタン。うーん…としばらく考えて、B、と返事をした。人生は修行だと思ってるし、業を解消していかないと。彼女に続きを打ちながら、僧侶かよと思った。修行…と彼女は笑って、私は記憶がなくなってもいいな、といった。私も記憶は正直どうでもよかった。ただ、ちゃんと還し切ってから命を終えたいというのだけはあって、そのために記憶は必要だと思うだけだ。それから彼女は、今旦那さんと喧嘩中だといった。ちょっとしたことで男のプライドが傷ついたみたい、昨日から口をきかなくなったんだ。男ってめんどくさいしホント子供だよねー。と二人でいい合った。甘えだよ。全甘え。私がいうと、…ちゃんの彼もそうだったんじゃない?会えないのも好きなだけ仕事したいのも受け容れてよって、と彼女はいった。うん…。と私は答えた。喧嘩中だけど二人分の夕ご飯は作る、という彼女に、偉いねー、がんばろ、といって会話を締めくくった。キッチンで食器を洗い、丁寧にコーヒーを淹れた。さっきのフロムの言葉を思い出していた。私に芽生えたのはあの感覚なのだろうと思った。ここまで来るのに随分時間がかかった。