沢渡日記

日々徒然

20191123

窓の外からの低い朝日を浴びながら、彼の背中に向かって尋ねた。あなたは私のことがどんな風に好きなの?ストーブにあたりながら彼は答えた。それは恋とは別の、人としての愛情だった。心がシンと静まった。じゃあもう会えない、と私は言った。マグカップから温かい白湯を飲んだ。喉に透明の液体が滑り落ちていく。彼は私にとって恋人ではない親密な存在だった。色んな話をしてお酒を飲み、肌を合わせた。私はその状況に満足していた。いつから自分の考えは変わってしまったのだろう。仕事の状況ががらりと変わったせいか、内にこもる季節のせいか。私は彼に、この先自分が望む状況を話した。彼は背中を向けたまま、もうあなたと話ができなくなるのは残念だけど…と呟いた。私は何も答えなかった。ストーブからカシ、カシ、と火が入った時の音が聴こえてくる。友達のままでいられなくてごめん。私は静かに言った。いきなり今生の別れを告げてごめん、それは言わなかった。彼は私と話すと安心すると言った。会う度に洪水みたいに思うままに喋り、時折、打ち明け話をして私の意見を聞いた。甘えていたのかも知れない。私もどこかでそうだったのだろうか。私は彼にどのような愛情を感じているのかずっとわからなかった。わからないということは多分、違うのだ。