沢渡日記

日々徒然

20191211

食後、洗い物の後で白い大皿を漂白した。イカスミの黒が傷にしみそうな気がしたのだ。昨日淹れて冷やしておいたアイスティーを飲みながら、ぼんやりと考え事をした。音楽はかけなかった。今、目の前にいる人に全力で親切にしたい。それは今の仕事をする上ではいいけれど、プライベートではどうなのだろうという気持ちになっていた。以前、最後から二番目の恋、という鎌倉が舞台のドラマがあった。その中で、坂口憲二がカフェのオーナーと天使業をやっていた。天使のコンセプトはこのようなものだった。目の前にいる女の人に全力で親切にする、でも誰とも付き合わない、なぜなら自分は不治の病だから。私はその魅力的な天使が大好きだったのだけど、それは自分と少し感覚が似ているからでもあった。ドラマの中では、結局周りが大混乱して、でも天使はただ純粋に優しいだけなので、困惑して悲しい顔をしていた。私はそれとはちょっと種類が違う。ただ目の前の人を自動的にもてなす。その場では好きも嫌いもない。めちゃくちゃ楽しく話して、またね!と手を振る。けれど次に会うと自分の気持ちはまっさらな初期設定に戻っている。距離が縮まることはない。まやかしのホスピタリティー。ふと、方向性のない優しさは自分の起動すら狂わせることに気づいた。私はずっと、何も話さなくてもそばに居られる人を望んでいるはずだ。人付き合いのスタンスを変える必要があるのかもしれない。