沢渡日記

日々徒然

20210502

歳下の可愛い人とランチに行く。こういうのは久しぶりなので、美しい料理を出すお店を選んだ。オーダーした後、私が考えていることをつらつらと話し出すと、こういう話が出来る人は周りにいない、と彼女は言った。そういえば何人かの友人から同じように言われたことがある。話の中で、そこは感情の領域で、数値化出来るものではないと思っていた…と彼女が呟いた時、ふと思い至った。春先、無職だった期間に浴びるほど本を読み、全ての物事をデータとして捉えて検証する習慣が身についたのかもしれない。ある大きな取り組みの中で沸き起こった感情。それは、線表にすると一体どの位置にあるのか。私が生身の生き物ではなくなって、単なるドットになる。引いて眺めることで、全体の判断がつきやすくなる。食事の後、コーヒーを飲んた。美味しかった。ここはなんでも美味しいんだな…と思った。ハーブティーを飲みながら、彼女は大切そうに私の話を聞き、質問をして、じっくり噛み砕いてくれた。ありがたいことだ。考えることが趣味であり、ほぼ一日中何かを考えている割には、まだ私は問いの立て方が全然浅いのだ。店を出ると雨が降り出した。小走りで移動したけれど時間がかかってしまって、彼女の長い髪を濡らしてしまった。私は赤いタオルハンカチを差し出した。これで髪を拭いてね。嬉しそうに彼女は受け取った。