沢渡日記

日々徒然

20200123

仕事明け、帰宅して電気カーペットの上にぱたりと横になり、そのまま動けなくなる。疲れた…。温かい鴨汁そばを作り、長葱をたっぷり刻んで入れた。体が温まった。食後、紅茶を淹れてぼんやりした。三年後の仕事のことを考えた。趣味の転職は楽しかった。次は?BONNIE PINKの曲を流した。いくつかの特に好きな曲は、突然キラキラした何かが始まる感じがある。昔の曲に多い。今の環境で、今の人間関係だと一番好きな人はあの人のままかもしれない。ガラッと環境を変えれば、多分好きな人も変わる。好きだと伝えてここから出る、という方法について考える。そういえばずっとそうやって次に展開してきた。いい子でいるのはやめて、たまには生きてるって実感して。いい歌詞だ。彼女の声には艶がある。

20200122

声はダミ声だけど出るようになった。夕方、前の恋人に会う。会うのは二年半ぶりだった。相変わらず清冽な佇まいで、澄んだ目をしていた。喉のお見舞いに、と立派なアカシア蜂蜜の瓶をいただいた。彼はギネスビールをチェイサーにウイスキーのダブルを飲み、次々とお代わりした。私は喉が焼けるのでお酒は控えた。彼は最近の仕事の話をした。優秀で徳の高い人だからどこで何をしてても心配ないと思った。この人は大丈夫だな、と感じる人っている。その差はなんだろう。バナナのシフォンケーキを頼み、二人で分けて食べた。会わない間に変わったことの話になった時、少し考えて、あなたが知ってる私がどういう人なのかわからない、と答えた。それから、転職の話と好きな人の話をした。考える時に左上を見るところは変わってないね、と彼が嬉しそうに言った。そうかな、と答えた。私には懐かしむという感覚か欠落しているのかもしれない。昔の自分はもう終わったことなのであまり覚えていない。

20200121

声は低音が少し出るだけ。薬を飲むだけのために食事をし、あとはゴロゴロする。相棒、前シーズンの録画をようやく見終わった。夜九時からドラマ、10の秘密を観る。仲間由紀恵は美しい。一度セレブになると、セレブをやめられなくなるから大変だよなぁと思う。多額の借金をしてでも体裁を守る。芸能人とかネットやSNSで人気が出た類の有名人もそう。上げてしまったハードルを下げるのは大変だ。名もなき庶民が一番自由でいい。

20200120

声が出ない。午前中病院へ行く。喉の炎症がひどく、すぐは治らないかもね…と診断を受ける。明日から仕事に行きたいと言ってみたが無理そうだった。話そうとしても吐息のような声しか出ず、仕方ないかと思う。一日ゴロゴロして過ごす。夜の十時からグレーテルのかまどを見て、続けて100分de名著を観る。出口さんが解説者で出ていた。何気なく話している内容を聴きながら、神様みたいだなと思った。ライフネット生命を立上げした人だと知っていたが、今は別府にある大学の学長とのこと。いいなぁ大学行きたい、とまた思った。趣味の転職の次は、趣味のキャンパスライフ。やりたいことまだあったな。

20200119

相変わらず声が出ない。夜、テセウスの船を観る。映画みたいなスケールで面白かった。竹内涼真を始めてちゃんと観た気がする。鈴木亮平は昭和っぽい男気がある。雪深い土地の風景をぼんやり眺めていると自分がどこにいるかわからなくなる。クタクタだ、と思う。この繁忙期、日中にすべての気力を使い果たしてしまう。週末に体調がおかしくなるのは、やっぱり限界を超えているのだ。無理をしてなんとか頑張ってきたけれど、自分が壊れるのを庇うように声が出なくなった。それ以外の不調なら這ってでも仕事に行ったはずだから。強制終了。休みが必要なのかもしれない。

20190118

起きると午後二時だった。覚めたくない夢を見た。声が出ないので長い間うがいをして、納豆そばと人参のサラダを作った。食事の後、ロキソニンとカルボシステインを飲んだ。お湯を沸かし、コーヒーを淹れてカステラを切った。林檎を薄くカットした。テーブルに運び、ガーベラを生け直してお茶の時間にした。ピアノの旋律を小さく流して、夕陽がビルの谷間にゆっくりと沈んでいくのを見ていた。夢の中で、あの人は私の気持ちに気付いていた。背伸びしてカーテンレールの引っ掛かりを直し終えた私に、そうだと思ってた、と彼は言った。冷めかけたコーヒーを一口飲んだ。デカフェは味にパンチがなくて、少し物足りない。コーヒー味のお湯、と友達が言ったのを思い出す。夕陽がさっと光を増して、顔を上げた。これまでずっと、夕陽がそれほど好きではなかった。でも、今日は美しいと思う。頼りないこの世を包み込む、終わりを含んだ温かな光。カーテンレールを直すのに、実は少しだけ時間をかけた。彼が私の背中を支えることが自然であるように。夢の中でも、私は彼にはっきりと言葉で伝えなかった。どうしても失いたくない人には、言えないんだなと思った。オレンジの光がビルの際から消えてしまうまで、ずっと眺めていた。

20190117

当たり前のようにこの人が目の前にいて、他愛のない話をして笑って、眺めることもそんなにしなくて。好きなことを忘れてしまうくらい好きってこういう事かもしれない。楽しいからいいじゃない、このままで。そう思いながら温かいお湯割をゆっくり飲んだ。今夜一緒に飲んでいる友達は、重力を全く感じさせない、フワッと気配の軽い素敵な人達だ。その話をすると、重力って?と尋ねられた。例えば、嫉妬とか、期待とか…構われたいとか、思い通りにしたい、みたいな。と私は答えた。途中からお酒とタバコの煙で声が掠れて出なくなり、ニコニコしながら言葉少なに話をした。周りを見渡しながら、妙な夜だなと思っていた。私のことを好きだった人や、私が好きだった人や、出会ったばかりの人か入れ替わり立ち替わりやってきた。時間はどんどん流れていくし、色んなことが猛スピードで変わっていく。風に吹き飛ばされないように、と自戒する。気をつけていないと、風船みたいにどこまでも高く遠くに飛んで行ってしまう。そろそろ光の束をひとつに集める時期が来ているのだ。隣に座っている女友達の淡く酔った目が可愛かった。上向きの三日月の瞳。そのことを褒めると、…さんは目がきれい、と言われた。そう?と聞き返した。うん、すごく澄んでる。そうなのか、と思った。そうならいいね。