沢渡日記

日々徒然

20181011

昨日の夜、鍼灸院へ行った。風邪のウィルスと抗生物質で壊滅的と思われた胃腸は、それほどダメージを受けていなかった。食生活がそこそこ良かったのかもしれない。最寄り駅そばのショッピングモールに入り、花屋の店先に並んでいたアイビーの鉢をひとつ買った。最近、樹々が紅葉してきていて、フレッシュなグリーンの葉を部屋に置きたかった。お腹がすいたので、おにぎり屋さんに寄って豚汁と梅おにぎりを食べた。昨日観たセブンルールに出ていた絵付職人を思い出した。やらないことリストをノートに定期的に書くのだと彼女はいった。やらないことか…とぼんやり考えた。猫背にならない。あとは思いつかなかった。彼女が美味しそうにウイスキーを飲む映像が何度も浮かんだ。そういえばしばらく飲みにいっていない。

20181010

昨日の夜、久しぶりにヨガへ行った。風邪の治りかけと抗生物質のせいかまだ汗は出にくかった。家に帰り、秋の新作ドラマを二つ観た。九時代のドラマでは、歯科医の榮倉奈々がよかった。一見サラッとした大人の女性なのに、頑なでアンバランスで。亀は全然頑張っていない。亀はただ前に進むことが楽しい。亀の視界に兎はいない。一方、兎は亀をを見下すために走る。兎は自分がすごいことを証明したい。高橋一生が淡々と話した台詞をしばらく反芻していた。亀の世界はピュアで美しいなと思った。十時代のドラマは、想像よりずっと静謐でじんわりとよかった。有村架純に恋する男の子の複雑かつ繊細な心の動きを見ながら、あぁ…いいね…と思った。中学三年の頃、私は塾の先生に恋をしていた。卒業後、彼は私の恋人になった。あれは楽しかったな、初めてのことばかりで。彼の書く字を思い出した。角ばっているのに流れるような情緒があって、とても好きだった。

20181009

昨日のお昼、公園へピクニックへ行った。パン屋でバターロールと豆パンを買い、スーパーで唐揚げと野菜ジュースを買った。木立の中のベンチに座り、テーブルの上に食材を並べていった。遠くで鳥の声が聞こえた。落ち葉の隙間から薄紫色のクロッカスが咲いていた。微かな葉擦れの音を聞きながらパンを食べた。本当に静かだと思った。野菜生活のグレープ味を飲み、唐揚げをつまんだ。こんなに長く人に会わないのは久しぶりだった。特に必要とも思わなかった。片割れの彼と一緒に過ごしていた頃、私たちは色々な話をした。そして深く響き合い、互いをわかり合ってしまった。まるで完璧な抱擁のように。そのことで私の中の全ては満たされてしまって、恋から出た今でも変わらなかった。あの人は私の何なのだろうと不思議に思った。一過性の恋の縁なのだろうか。考えても答えは見つからなかった。食事を終えるとひんやりと手が冷たくなっていた。テーブルの上を片付けて、林の中の小道をゆっくり歩き出した。空はうす青く高く、時折乾いた風が渡っていった。ふと紫陽花の株の前で立ち止まった。花びらの、紫から茶までのグラデーションをしばらく見つめた。紫陽花は随分しどけなく枯れるんだなと思った。

20181008

昨日、午後からイベントがいくつかあって、色んな人に会う予定があった。いつもよりカジュアルなオシャレをして、出掛ける前に買い出しへ行った。家に戻って冷蔵庫に食材を詰めると急に疲れてしまい、そのまま部屋着に着替えてキッチンで紅茶を淹れた。パン屋で買ったフレンチトーストサンドイッチは卵とハム。ミニトマトを添えてお昼ご飯にした。雨は上がったけれど空にはどんより雲がかかっていた。食後にトースターで温めたポテトパイを食べて、残った紅茶を片手に文庫本を読み始めた。西加奈子の白いしるし。読むのは三度目なのでストーリーは大体憶えていた。主人公の女の人が恋をするマジマ君という画家がめちゃくちゃいい。外から見ると闇の風情を持つおそろしくピュアな人なのだけれど、彼自体が闇そのものなので本人には全く自覚がない。こういう人は好きになったら最後。こわいねーと思いながら読み進めた。友達からiPhoneにメッセージが届き、本を置いて開いた。自己中かつ繊細な人って、繊細だから自己中になるのか?と問いだった。彼女は二つの関係性を考えていたら迷宮入りしたらしい。しばらく考えてみたけれど、わからなかった。繊細イコール自己中とも思わないけど…。そういえば、過去の恋人に繊細で自己中じゃない人がいた。誰にでも深く優しく、泉のように愛をたたえた人だった。もうすぐ彼の誕生日だ、と思い出した。

20181007

昨日の夜、夕ご飯はマドレーヌと豆乳にした。夕方、長崎ちゃんぽんを作って食べたのでまあ良しと思った。薬を一通り飲んでシャワーを浴び、足の爪にペディキュアを塗った。ダークレッド。こっくりと深い秋色だ。なかなか乾かなくて裸足のままじっと待った。Apple Musicに冨田ラボの新譜があったので聴いてみた。パスワードという曲が好きだった。日差しに飲み込まれて合言葉を見つけてしまったら…長岡亮介のファルセットボイスが心地いい。昨日の明け方、真っ暗なフロアの隅で恋人だった人と少し話した。私は別れてからずっと考えていたことを彼に伝えた。彼は驚いたように私の目を見つめて、ありがとう、と言った。そして私をぎゅっと抱きしめた。私は彼の背中にすんなりと腕を回しながら、この人の身体の形を腕が憶えていると思った。ありがとう…彼がもう一度呟くのを体温越しに聴いた。音楽を止めて、朝ドラの録画を流してぼんやりと見た。四十年待ったからね、と律くんは言って笑った。鈴愛ちゃんのことだ。すごいなと改めて思った。天井を見上げて、私の片割れのことを考えた。恋なら誰とでもできる。でも片割れはこの世でたった一人しかいない。私は彼を失うわけにはいかなかった。そういうことなのだろう。

20181006

昨日の夜、午前一時に起きた。冷蔵庫からローヤルゼリー入りのエナジードリンクを出して、缶のまま飲みながらメイクを始めた。チーズを食べて豆乳を飲み、ロキソニンを飲んだ。歯を磨いて服を着替え、小さなバックに財布やのど飴を詰めた。午前二時、家を出た。国道に出る前の道で運良くタクシーが捕まり、繁華街方面へ向かってもらった。呼び出されたんですか?タクシーの運転手に聞かれて、いいえ、イベントで、と私は短く答えた。水を飲んでミンティアを口に入れた。病み上がりなのに無理やり遊びに行くことにしたのは、滅多にない機会だからだ。クラブに着くと、ゲストDJのプレイが始まっていた。上着をロッカーに預けてとりあえずフロアへ飛び込んだ。人波をかき分けてブースの前まで行き、DJがプレイしている姿を眺めた。本当にいる…と思った。いつもYouTubeSNSで見ているだけの人だったから。とりあえず喉が乾くまで一度踊ろう。まだ喉の腫れが引いたばかりでリミットは多分短い。最前列で踊っていたら隣によく知ったフォルムを見た。肩のライン、背筋の伸び方、リズムを取る身体の揺れ。暗いので顔は見えなかった。何度かチラチラ見ていたら、恋人だった人だと気づいた。声をかけると彼は驚いた。腕を引き寄せて耳元で、今来たの、と言ってニッコリした。あまりにも自然だと思った。

20181005

昨日の夜、仕事帰りにドラッグストアで買い物をした。レブロンのマニキュアと透明のバンドエイド、ホッカイロ。それからショップでヘアトリートメントを二本買った。交差点で信号待ちをしながら、日の入りが早くなったなと思った。秋は夜が長い。家で一から料理をする気になれず、おにぎり屋さんに入って軽く食事をした。鮭のおにぎりと豚汁。ディスプレイに映る野球中継を見るともなく見た。今日は一日サイアクの体調で、よく一日働けたな…と思った。半ば意識が朦朧としていた。家に帰り、栄養バランスのことを考えて温野菜の焼いたお肉を少し食べた。洗濯機を回して床にクイックルワイパーをかけた。こんな日は家事も全部やめてすぐ寝ればいいのにと思ったけれど、目についてしまうとダメなのだ。シャワーを浴びながら、明日はどのくらい体力が回復するだろうと思った。困ったなぁ。ぼうっとして何も考えられないし、やるべきことをこなすだけで精一杯だった。ふと、身体が何も考えない時間を欲しているのかもしれない…と気づいた。ここ最近色々あったし。八月、恋愛。九月、恋愛。十月は?どうか穏やかで優しい日々になりますように。