沢渡日記

日々徒然

20201026

午後、森の中にあるカフェに行った。あんバタートーストとカフェオレを頼んで、のんびりとブランチとした。窓の外の黄色く色づいた樹々をゆったり眺めながら。食事を終えた頃、待ち合わせの友達が着いた。お茶を飲みながら彼女は、家族に尽くしすぎて疲れてる…と話した。毎朝早起きしてご主人を職場まで車で送るので、睡眠不足で体がガタガタだという。電車で行ってもらえばいいじゃない。と私は言った。彼女は答えなかった。仕事だと思ってやってるの?と聞くと、それにも彼女は答えなかった。それなりにいい時間ではある、会話もできるし、と彼女は言った。うーん、と私は唸った。私なら送ってもらうのも送るのもイヤだな…と呟いた。その都度相手に感謝したり、次も期待したり、叶わないとガッカリする。一連の心の動きが全部鬱陶しい。そう思って、私はまた切り立った崖の上にいると気づいた。今の自分の頭の中には愛の概念がすっぽり抜け落ちている。好きな人がいない時期の私は徹底した個人主義で、ひどく冷徹だ。ふと、先の保証が全くない今の仕事で、自分はなぜこんなに心を砕くのだろうと思った。ただ目の前に課題があって、それを乗り越える努力をするだけだ。先のヴィジョンはない。それなら、長く続いていく家族の関係を育む彼女の方が、力のかけ方としては正しい、という気がしなくもない。あなたを奥さんにもらったら、私はダメ人間になるわ、甘えて甘えて。と冗談っぽく私は言った。私が夫をダメにしているのかなぁ…と彼女は呟いた。そうなんじゃない、と思ったけれど言わなかった。二人で何年も同じテーマで話しているし、夫婦には色んな形があるのだろう。