沢渡日記

日々徒然

20210731

夕方、気温はまだ32度を超えていた。待ち合わせのカフェには女友達がもう来ていた。アイスコーヒーとパウンドケーキを頼んで、眼鏡についた汗を拭いた。ネイビーとゴールドの爪が綺麗、と私が言うと、あなたに会うために今朝塗り替えたんです、と彼女は言う。この人はそうやっていつも装ってくれるのだ。うっとりした。七月生まれだというので誕生日のお祝いをした。その流れから、ブラックココアパウダーのことを話した。見た目は真っ黒でソリッドだけど、コクがあって美味しいと。アイスコーヒーのグラスは暑さですぐに水滴がついてしまう。ストローで一口コーヒーを飲んで、実は十四年ぶりに荒野から草原に移動した、と私は話した。一人で生きていくのも、自分で自分を満たすのも、アウェイで荒波に揉まれてゼロからイチを立ち上げるのも、もうできるようになった。だから次は草原をやる。久しぶりすぎてやり方を忘れちゃってるけど。興味深そうに彼女は話を聞いていた。パウンドケーキをフォークで崩すと、ドライフルーツがふんだんに入っている。荒野は私にとって楽な場所なのだ。いつでも戻れるけど、もう戻らない。カフェを出て、近くの神社に寄った。境内は正常な気配で満ちていた。二人で並んで静かにお参りをする。ここの神社の神様は女の人だと思う、と私は言った。