沢渡日記

日々徒然

20210611

仕事明け、知り合いの店に顔を出した。店主が久しぶり、と手を上げて迎えてくれた。食事をしながら二人で写真の話をしていたら、常連と思われる人が入ってきた。彼らの会話は至極つまらないものだった。今日は誰と会っていて、これから誰とまた合流する。前に誰の家に集まってどうのこうの。ゆっくりしようと思っていたけれど早々に店を出た。友達と繋がっていることが世界一のような会話に辟易する。マウントの匂いもする。時間の無駄だなと思った。店主と楽しく大人のお喋りがしたかったけれど、店というのはそういう場所だ。自分が全ての行きつけの店から撤退した理由を思い出した。店主というのは魅力的な人が多い。私は店主と話すのが目的で通う。当たり前だが店には色んな人が集まる。店主は公共の人なので会話を独占できない。時間をかけて店主とは仲良くなって友達のようになるが、自分は一体これをいつまで続けるんだろう?と思う。どの店でも同じ。そういうループはもういいかな、と思ったのだ。外に出ると、まだ夏のように暑かった。閑静な通りを歩き、喫茶店に入った。さすがに冷たいものが飲みたくて、アイスカフェオレを頼んだ。壁にかかった時計が針を刻むのをぼんやり眺めた。iPhoneでLINEをチラリと見て、メッセージを既読にしなかった。トラブルのことを考えた。相手は私のことを必要以上に気に入ったようだった。初めは温度高いな…と観察していた。相手は押し引きの技術が高く、アプローチに慣れているようだった。やるね、と心理戦の観点からも感心している。ただ関係性上、このような事態はややこしすぎるのだった。私は相手に人として信頼されるような振る舞いを心がけていたか、それが女としてに転換されてしまうことを想定していなかった。これは自分のミスなのだろうか、と考える。水面下で押し留める策を講じなくてはならない。ふと顔を上げると、アイスコーヒーの氷が溶けて透明な層を作っている。もう夜がそこまで迎えにきている。