沢渡日記

日々徒然

20210630

夕方から別室で仕事の講義を受ける。系統立てて説明してもらうと頭に入りやすい。広範囲の知識でも実務でも勉強は本当に楽しい。今後もシリーズ化してほしいと思う。質疑応答をはさみつつ、講義は一時間半ほどで終了した。ホワイトボードいっぱいに書き出された数字を、件の人が青いイレーザーで消していた。私がやります、と手を伸ばした。あと二ミリほどで指先が触れそうなところで、触れずにイレーザーを受け取った。相手の指先が遠慮と緊張で少し震えていた。映像としてよいシーンだと思った。心が淡く濃く揺れるさまを丁寧に撮るような気持ちでそれを眺めた。ふと、自分はこういう感情で気分転換をしているのだと気づく。触れそうで決して触れずに心だけを淡く滲ませる。そして誰にもそれを明かさない遊び。仕事で八時間びっちり頭を使っているせいか、別のモードに自分を振りたくなるのだろう。仕事明け、欅の木の下で初夏の風に吹かれた。ベンチに座って、夕方が夜に沈んでいくグラデーションを眺めていた。