沢渡日記

日々徒然

20210812

朝、コーヒーを淹れて窓辺で読書をする。「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」を本棚から選んだ。なぜか数日前から気になっていたのだ。女友達から、お盆休みなの?と連絡があった。近くでパーソナルトレーニングを受けているらしい。お昼にパンを持って遊びにきてくれた。二駅奥にある美味しいパン屋さんだ。蒸し鶏とレタスのサラダを一緒に出す。週末の仕事を辞める理由などを話した。やってみないと合う合わないはわからないよね、と彼女は言った。シフトを減らすことも考えたけれど、それではゼロリセットにならない。次の経験に移ること、それが最優先事項だ。食後、いただいたアップルパイを切っていたら友達がコーヒーを淹れてくれた。誰かに淹れてもらうコーヒーはやっぱり美味しい。午後、ロゼワインを飲みながら読書に戻る。つくるの喪失についてのエピソードをいくつも読んでいくうちに、ひどくさみしいような気持ちになる。アイミスユーという病だ。風の人のことを思い出した。私の背中を抱きしめて、ハッと気付くように腕を解いて呟いた。さみしくなる。私の体温や骨格を、体が覚えてしまうことを彼は恐れた。それが自分の心にどんな風に作用するかを。私は彼の肩にそっとこめかみを預けて、大丈夫だよ…?と呟いた気がする。その時はピンときていなかったのだ。何が大丈夫なものか。今ならそれがよくわかる。夜になって、ソーセージとセロリのパスタと、パンプキンサラダを作った。食事をしながら凪のお暇の録画を観る。夜、凪が慎二の家にぬか漬けのタッパーを取りに来たシーン。慎二が号泣しながら、好きなんだ…と告白する。何度も観て確認する。よかった、壊れているのは私だけじゃない。