沢渡日記

日々徒然

20210814

夜、風の人に会った。並んで立ったまま、二人で遠くを見ながら話した。恋愛二人羽織の自分が甘えたりはしゃいだりするのがイヤだなと思った。一過性の病なのでしばらくは仕方ない。相手にも大目に見てほしいと思う。風の人は大袈裟なことや違うことを言わない。いつも落ち着いて、正しい重さの言葉を使う。そういうところが好きだと伝えると、彼はふわっと和らいだ顔をした。その後、彼の創作を鑑賞した。私は元のひんやりとした自分に戻った。何年もの間、私はこの人にアクセスされてきたのだ、と改めて思った。胸の奥にある銀河系の、自分にさえ触れられない場所に。不思議なものだ。指一本触れることなく、視線を交わすこともなく、私は彼とセックスに似た何かを行うことができる。風が吹いて、細胞という細胞が一斉に闇の方へたなびいた。