沢渡日記

日々徒然

20210702

夜更けにハグをした。夜に対して垂直に。そういう気持ちになることもある。さらっとした、後にも先も続かない十秒間。うっすらと今夜は何かがある気がしていた。自分のコンディションがずっとオンラインのままで、揺れも続いていた。店のカウンターでばったり彼と会った時、そうか、と思った。もう四年くらい、付かず離れず仲良くしてきた人だ。ビールを沢山飲んで、音楽を聴いた。この人といると私は、自分の中にいる誰か用の私、にならなくていいのだった。それは私にとっては稀なことだ。誰か用の自分になることは、相手の要望や幻想に応えることだ。それはサービスともいえる。そんな時、いつも冷静な気持ちで相手を観察しており、自分のサービスの効果を計測している。ただ、人付き合いと趣味が同じ形をしているからたまに混乱してしまう。素でいられる人は貴重なのだ。家に帰り、カーペットに仰向けになってぼんやりした。ふと、絶対に失いたくない人と付き合うのが正解なんじゃないか、と思った。大事だからこそ手をつけないんじゃなくて。今まで流離続けてきた軌道が正しく収まった気がした。いい夜だった。